大分県知事が遺憾 米軍、午後8時以降の砲撃自粛を拒否 沖縄から移転の実弾訓練


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昨年、米海兵隊員と陸上自衛隊の水陸機動団が連携して行われた共同訓練の様子=2020年2月9日午後、金武町の金武ブルー・ビーチ訓練場(又吉康秀撮影)

 米軍実弾砲撃訓練が沖縄から移転した大分県の陸上自衛隊日出生台演習場で、地元自治体が求めていた午後8時以降の砲撃自粛を米側が拒否した件で、同県の広瀬勝貞知事は5日までに本紙の書面インタビューに応じ、「所期の結果が出なかったことは遺憾」と改めて不快感を示した。

 同演習場では陸自が冬季に午後8時以降の砲撃を自粛しており、九州防衛局と大分県、地元3市町は米軍にも自衛隊同様の射撃短縮を求めることを確認している。2020年2月の米軍訓練では9日間(1日は小火器訓練)で5日間の時間超過が確認され、広瀬氏は同年3月、午後8時以降の砲撃自粛などについて日米で合意するよう国に求めていた。日米合同委員会で協議が続いていたが、今年3月18日、防衛省が大分県に夜間砲撃自粛などを米側が拒否した旨を伝えた。

 広瀬氏は本紙取材に大分県として午後8時以降の砲撃自粛と、訓練日数に小火器訓練を含むことの明確化を日米に求めた経緯を説明した。米側の夜間砲撃自粛などの拒否については「県と地元3市町と九州防衛局、自衛隊の協定書などは周辺住民、県民の安全安心のための大事なルールだ」と強調。「米軍の使用もこのルールを尊重してもらえるよう米側に働き掛けてもらいたい」と要望した。

 大分県の抗議を受けた日米合同委員会は協議を続け、20年度、21年度の2年連続で日出生台での米軍訓練は見送られた。

 一方で、航空機の騒音防止協定など、沖縄では日常的に米軍が協定違反を繰り返しているが訓練は続いている。広瀬氏は「防衛省は我々の要請に対し、あらゆるレベルで米側と頻繁に協議したと聞いている。沖縄県の場合との差異については分からない」と述べた。
 (塚崎昇平)