興南の投手陣が急成長 沖尚の選球眼光る 県春季高校野球総評


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決勝で沖縄尚学を4―0で破り、2年ぶり8度目の優勝を遂げた興南ナイン=4日、北谷町のアグレスタジアム北谷

 第68回県高校野球春季大会(県高野連主催、琉球新報社共催)は3月20日から4月4日まで、アグレスタジアム北谷などで行われ、興南の2年ぶり8度目の優勝で幕を閉じた。昨年は、新型コロナウイルスの影響で無観客開催、準決勝以降は打ち切りとなった。ことしは一部関係者のみではあるが、2年ぶりの有観客で、決勝まで行われ、球場に拍手と歓声が戻ってきた。

■興南、厚い投手陣

 優勝した興南は、けが明けのエース山城京平を欠いた中でも3投手が急成長。中でも右腕の大山北斗は初先発した2回戦で2失点したが、次の登板の準々決勝以降は無失点で防御率は0・9だった。最速139キロ。球威のある直球、変化球で、球速以上の切れがあった。生盛亜勇太は絶妙のコントロールで打ち取り、上地杜和は左打者にワンポイントで起用されてしっかりと応えた。

 一方、打撃はぴりっとせず。連打がなかなか生まれなかったが、接戦を勝ち上がってきた。決勝でようやく打線がつながった印象で、九州大会に向けて打撃の修正が急務となる。

■沖尚、高い出塁

 準優勝の沖縄尚学は、四死球での出塁が31。沖縄工が23、美里工18、興南は15で4強中断トツの多さ。ただ、残塁も50あった。選球眼が光るだけに足を使った攻撃や犠打の成功率を高めたい。

 3年連続4強入りの沖縄工は翁長大士、上原紳之祐の左腕両エースの成長が大きかった。ピンチの場面での失策を減らしたい。

 美里工は18盗塁と4強の中でも群を抜き、機動力野球を見せつけた。準決勝までの失策1は4強中最も少ない。打率2割8分8厘で、夏までに打撃の向上も課題。4強の打率は興南が3割1分4厘で、そのほかは2割台だった。

■延長、コールド減少

 準々決勝で興南と対戦した宜野座の玉城瞬哉や、糸満を下して8強入りを決めた浦添商の新城飛鳥らの好投も印象に残った。

 延長試合は大幅に減少。対戦カードの影響もあるが19年の66回大会から順に8試合、続いて4試合、今大会は2試合。コールドゲームは昨年の18試合から、12試合になったが、春は各校の実力差が顕著な傾向がある。夏の前哨戦で得られた反省を糧に、戦力向上に期待したい。
 (上江洲真梨子)