無念の国体乗り越え水球の古豪日大へ 今後の成長と活躍を誓う 伊波盛能<決意の春>


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大学進学を前に那覇商のプールで鍛錬を積む伊波盛能=3月10日、同校室内プール

 全国一をつかむ手応えを感じながら、コロナ禍で延期となった国体、ふがいない内容で終わった引退試合。高校生活の集大成となるはずだった最終学年は、無念さや後悔ばかりが残った。「大学ではインカレで強いところを倒して、日本選手権にも出たい」。水球で高校日本代表メンバーに選ばれた伊波盛能(もりの)(18)=那覇西出=は、古豪日本大に進学し、晴れ舞台での活躍を誓う。

 164センチ、53キロ。小柄だが、下半身の強さを生かした1対1の守備やカバリングに優れる。高校1年時から全国の舞台に立ち、2年の秋には高校日本代表としてスペイン遠征も経験した。日大には那覇西出身で二つ上の兄・盛一朗や一つ上の仲本虎次郎ら先輩が多く所属しており、「みんなのプレーも分かる。環境がいい」と意識し、進学を目指してきた。

 高校3年での目標は「国体優勝」。前年の茨城国体は少年男子で県勢10年ぶりとなる8強入り。那覇西メンバーに加え、共にスペイン遠征を戦った那覇商のGK仲島徹彦や有望な1年生もいて「優勝を目指せるメンバーだった」。しかし6月、コロナ禍で鹿児島国体の延期が決定。「やり切れなかった」。那覇西と那覇商の2校のみがエントリーした翌7月の県総体が、高校最後の一戦となった。

 しかしモチベーションは上がらない。右サイドやトップを担ったが、第2ピリオド以降は1点も決められず、統率も満足にできなかった。結果は1点差の勝利。「最悪な内容だった」と振り返る。「区切りが付かなかった」と引退後も練習に参加するも、気持ちは晴れない。鍛錬に身が入らない日々が続いた。

 ただ進学が迫る中、落ち込んでばかりもいられない。「今の体だと大学では試合にも出させてもらえない」と、3月上旬には那覇商プールで現役生に混じって水中で躍動する姿があった。日大では、まず体づくりに重点を置く。「まだ体が細い。鍛えてシュートの速度や攻撃センスも磨いていきたい」。笑顔の中に強い決意をのぞかせた。
 (長嶺真輝)