【深掘り】沖縄に「まん延防止」適用 慎重姿勢だった県が方針転換した背景とは?


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沖縄県庁

 県が緊急事態宣言に準ずる新型コロナウイルスの感染拡大防止対策が可能となる「まん延防止等重点措置」の適用を、国に要請する方針に急きょかじを切ったのは、要請を望む政府に押し切られたからだ。県にはこれまでも、政府から内々に重点措置の適用を要請するよう打診があったが、県経済への配慮から慎重な姿勢を見せていた。

 事態が急展開したのは8日午後からだった。県幹部によると、政府から連絡があり、9日に沖縄への適用について言及すると伝えられた。

 この機を逃すと、沖縄への重点措置の適用が早急に実施できないとも迫られ、玉城デニー知事は腹を固めた。急きょ幹部会議を開き、県幹部らは県議らへの説明に当たった。

 県は1日から開始した営業時間短縮要請を感染拡大防止の柱に掲げ、3月から急拡大した飲食を介した感染に歯止めを掛けようとしていた。それによって、観光需要のピークを迎える5月の大型連休期間中には、渡航自粛要請をしないことを目指していた。

 県は時短要請の効果により、今週末当たりから、新規感染者数が減少していくことを期待していた。だが、感染者が100人超えの日が続き、感染力が強い変異株がまん延している可能性も浮上してきた。

 県は感染状況の推移を見極めるため、重点措置への判断を保留してきたが、結果的には対応が後手に回った感も否めない。

 (梅田正覚)