かりゆし2ホテルを特定目的会社に譲渡 運営は継続 ファンド「優良不動産の県外流出防ぐ」


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合同会社結志に譲渡された(左から)沖縄かりゆしLCH泉崎と沖縄かりゆしリゾートEXES那覇=8日、那覇市

 県内ホテル大手のかりゆしグループ(平良朝敬会長)は8日、3月31日付で那覇市泉崎のホテル「沖縄かりゆしリゾートEXES那覇」と「KARIYUSHI LCH Izumizaki県庁前」を、特定目的会社に譲渡したと発表した。譲渡先は、かりゆしグループ、県内で投資ファンドを運営する琉球キャピタル(池端透社長)、ファンド運営会社のみずほリアルティOne(東京都、大江一馬社長)が設立した「合同会社結志(ゆし)」で、譲渡後も、かりゆしグループが賃貸借契約を結ぶ形で引き続きホテルの運営を担う。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でホテル業界の集客が大きく落ち込む中、かりゆしグループの救済に向けて、県内外の複数の企業が協力し、資金を供給する形となった。かりゆし側は、譲渡で得た資金で経営の安定化を図り、5年後をめどに両ホテルを買い戻す意向を持っている。

 「結志」の代表者らと、琉球銀行の川上康頭取が8日、記者会見した。ホテルの譲渡金額は非公表だが、結志側の説明によると、諸費用を含めたプロジェクト総額は約45億円。資金調達に当たり、琉球銀行からの融資額がプロジェクトの3分の2を占めている。

 記者会見でかりゆしグループの平良会長は、感染症によって売り上げが前年の5割以上の減収となっていることを説明。2ホテルの譲渡について「資産効率を向上させるとともに、足元の資金調達によって経営の安定性を高め、次の一手に備えることができる」と意義を強調した。

 県内企業の事業再生を進める「琉球キャピタル」は、運営する琉球ファンド1号投資事業有限責任組合の資金から出資した。

 池端社長は「ファンドの理念に合致し、優良不動産の県外資本への流出阻止、安定的な事業運営によるホテル不動産の保全に資する」と述べた。