1100万年前に2地域に分岐 ヤエヤマヒルギ属マングローブ 琉大・京大の研究で解明


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ヤエヤマヒルギ属マングローブ林が分布域を拡大する過程を表した図(研究グループ提供)

 琉球大学と京都大学らの研究グループは、熱帯・亜熱帯地域の沿岸部に分布しているヤエヤマヒルギ属マングローブが約1100万年前、二つの地域に分かれたことを明らかにした。これまで両地域間で形成する種類が異なっていることは分かっていたが、マングローブ植物の分布の形成過程を初めて解明した。

 研究グループによると、化石情報から、5千万年前には世界の広い範囲でマングローブ植物が分布していることが分かっていた。ヤエヤマヒルギ属は、インド洋・西太平洋地域に分布するIWPと、大西洋・東太平洋地域に分布するAEPに分かれる。

 調査の結果、ヤエヤマヒルギ属マングローブは約1100万年前に、ユーラシア大陸とアフリカ大陸の移動によるテチス海の消滅や気候の寒冷化で、分布域が赤道付近へと狭まった。またIWPの分布域に入るニューカレドニアなど南太平洋の島嶼地域のマングローブは、AEPとIWPとの雑種を形成していた。DNAを調べると、樹木として成長できるが、繁殖できないことも明らかになった。

 研究グループは約20年前からオーストラリアやブラジル、ガーナなど約20カ国を訪れ、マングローブの葉を採取した。葉からDNAを抽出した後、系統を分析し、分岐年代を推定した。研究グループは「マングローブ生態系全体への理解が一層深まると期待している」とコメントした。

 3月30日、研究成果をまとめた論文が国際誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載された。