「日米両政府は沖縄との真摯な対話を」 普天間返還合意から25年 知事コメント全文


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玉城デニー知事

 橋本龍太郎首相とモンデール駐日米国大使が1996年、米軍普天間飛行場の全面返還に合意して12日で25年を迎えた。節目に合わせ沖縄県の玉城デニー知事はコメントを発表。県として、普天間飛行場の速やかな運用停止を含む1日も早い危険性の除去、早期閉鎖・返還を実現するため、日米両政府に対し県との真摯な対話に応じるよう求めていくと決意を新たにした。知事コメント全文は以下の通り。

 本日、4月12日で、当時の橋本総理とモンデール駐日米国大使による共同記者会見で普天間飛行場の全面返還が発表されてから25年を迎えました。

 普天間飛行場は、市街地の中心部に位置しており、住民生活に著しい影響を与えていることから、周辺住民の航空機事故への不安や騒音被害などを解消することは喫緊の課題であり、県民の強い願いであります。

 しかしながら、25年が経過した今なお普天間飛行場の返還は実現せず、平成16年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故や、平成29年の普天間第二小学校への窓枠落下事故など、同飛行場所属機による事故は後を絶たず、また、近年、外来機の飛来の増加などによって、同飛行場における航空機の離着陸回数は増加しており、周辺住民は依然として大きな負担を強いられております。

 このことから、沖縄県は、日本政府に対し、普天間飛行場の固定化を避け、県外、国外移設及び早期閉鎖・返還に取り組むよう求めるとともに、オスプレイの配備撤回のほか、返還までの間においても、所属機の長期ローテーション配備による訓練移転を行うなど、一日も早い危険性の除去に取り組むよう求めているところです。

米軍普天間飛行場

 普天間飛行場の危険性除去が喫緊の課題であることは、国・県・市の共通の認識であり、今後とも宜野湾市と連携し、目に見える形で負担軽減が実現されるよう取り組んでまいります。

 辺野古新基地建設については、防衛省から提供手続の完了までに要する期間が約12年、総工費が約9300億円になることが公表され、沖縄県としては辺野古移設では普天間飛行場の一日も早い危険性の除去にはつながらないということが明確になったものと考えております。

 また、沖縄県が設置した米軍基地問題に関する万国津梁会議も、「辺野古新基地計画は、軟弱地盤の存在によって工期と費用が大幅に増大し、技術的にも財政的にも完成が困難である」、「日本政府は、辺野古新基地計画の帰趨にかかわらず、普天間飛行場の使用を減らすとともに、本来の目的である同飛行場の速やかな危険性除去と運用停止を可能にする方策を、米国政府や沖縄県とも協議し、早急に具体化するべきである」と提言しております。

 沖縄県としては、普天間飛行場の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去及び早期閉鎖・返還を実現するため、沖縄県との真摯な対話に応じていただくよう、日米両政府に対し粘り強く求めてまいりたいと考えております。  

令和3年4月12日  沖縄県知事玉城デニー