沖縄のコロナ病床占有率98%「空けられる所は空けて」 切羽詰まる状況


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 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。沖縄県は10日に警戒レベルを4に引き上げ、「まん延防止等重点措置」の適用に伴う12日から5月5日までの対策を発表した。変異株も増加し医療機関が逼迫(ひっぱく)する中、玉城デニー知事らは封じ込めへの協力を強く求めた。

「まん延防止等重点措置」に伴う県の対処方針について説明する玉城デニー知事(奥中央)=10日夜、県庁

 専門家会議委員で県立中部病院感染症内科の高山義浩医師はここ数日の感染拡大に「今週は感染の勢いが加速し、歯止めがかかっていない。医療現場の逼迫(ひっぱく)は日々深刻化している」と危機感を示す。玉城デニー知事は「コロナ以外の一般医療や、今月開始のワクチン接種にも影響する」と懸念し、「まん延防止等重点措置」などで示された対応の徹底を強く求めた。

 新型コロナウイルスの病床は10日、356床のうち349床が埋まり、占有率は98・0%に達した。県の糸数公医療技監は「各病院長に、空けられる病床は空けてほしいと依頼している」と切羽詰まった状況を説明した。県は現在、県内全域で最大471床の入院病床を確保しているが、各病院に依頼して最大507床までを確保する。ただ高山医師は「病床が確保できても医療従事者が不足している。コロナ診療に加えて一般医療への影響も出始めている」と厳しい状況を訴えた。

 これまで変異株に感染し入院していた患者は、2回のPCR検査で陰性が出なければ退院できなかったが、今後は通常の感染と同様に発症後10日で退院できると国から通知があったという。糸数医療技監は「退院の流れが速くなる」と期待した。

 県は、軽症者向けの宿泊療養施設を那覇市内は2カ所に合計260室、北部地区は30室、宮古地域は73室、八重山地域は50室の合計413室を確保したとした。