バスケ仙台の金城、個人指導で新たな挑戦「やりがい見付かった」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
真剣な表情で中学生にドリブル技術を教える金城茂之(右)=2020年6月、北中城村(提供)

 プロバスケットボールBリーグ2部東地区の仙台89ERSに所属する金城茂之(36)=北中城高―大東文化大出=が、昨夏から新たな挑戦を始めた。公式戦やチーム練習の合間を縫い、仙台など東北各地の体育館でバスケ教室を開講。オンラインでも開き「早いうちから新しい技術を知ってほしい」と、先端のスキルを小中学生らに伝える。現役のプロ選手が個人で指導を請け負うのは珍しいケース。「教えることが自分のプレーの気付きにもつながっている」と、相乗効果を実感している。

 小学5年で競技を始め、バスケ歴25年。トップレベルの環境に身を置き続けてきたが、今でも初めて知る技術も多く「バスケは常に進化を続けている」と感じる。学生の頃は独学でプレーを身に付けた。「もっと早く情報を知る環境があったら」と後悔の一方で、別の思いも。「情報を早めに教えれば、失敗できる時間が増えて子どもたちももっと上達できるんじゃないか」

 そこで一念発起。昨年6月、帰省した際に北中城村と那覇市で初めて個人レッスンを開いた。対象は小中学生。ドリブル技術を中心に教えたが、短時間で成長する子もいれば、なかなか吸収しきれない子も。「どう教えればもっと伝わるんだろう」と本気で悩む自分がいた。若い頃は「自分が一番じゃないと嫌で、自分のためにしか動かなかった」と言うが、「自分がバスケをする以外のやりがいが見付かった」と胸の高鳴りを感じた。

 昨年11月から年明けまでは、オフを利用して福島や岩手で小中学生にレッスンを実施。1月には自作の専用サイト「TRY ERROR RETRY」を開設し、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使ったオンラインでの教室も始めた。

 レッスンを始めたことで予想外の「副産物」も。「より客観的に自分の長所、短所を見られるようになった」とプレーの質が向上し、出場時間や各スタッツは昨季を上回る。特にドリブルでは目線を上げること、強くボールを突くという基礎を意識して教えており、自身のボールコントロールにも影響しているという。

 チームは現在、東地区4位で、プレーオフ進出に向けてワイルドカード1位に付ける。B1に昇格できるのは上位2チーム。

 「教えるのも楽しいし、『自分がうまくなってるな』という感覚もまだ持っていたい。欲張りに二つ同時にやっていければ」と二足のわらじも苦にならない。「多くの情報に加え、自分の経験、学んだことを伝えていきたい」と意欲満々だ。

 レッスンは現在、コロナ禍でオンラインのみ。個人、団体いずれも対応しており、年齢も問わない。詳細は専用サイトで確認できる。

 (長嶺真輝)