【深掘り】時短要請「急すぎる」 県発表から2日後のスタート 協力金支給の遅れも心配…


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「まん延防止等重点措置」に伴う休業を知らせる飲食店の張り紙。周辺ではシャッターの閉まった店舗も目立った=12日午後6時、那覇市久茂地

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「まん延防止等重点措置」の適用に伴い、県内全市町村の飲食店と遊興施設に対する、午後8時までの営業時間の短縮要請が12日から始まった。10日夜に県が対処方針を発表してわずか2日後とあって、事業者から「急すぎて、仕入れの調整も間に合わない」と不満が漏れる。飲食店の感染防止対策を確認するため、県の新たな認証制度と巡回指導が始まる中で、時短営業への協力金の支払いが遅れるのではないかと懸念する声も強い。

 時短要請の期間は、ゴールデンウイークが終わる5月5日までの24日間。これまでの度重なる時短の要請で飲食事業者の経営体力が落ち込む中、居酒屋などでは期間中の全休業を決めた店舗も相次いでいる。

 ■「赤字」回避

 12日、ビジネス街の那覇市久茂地では、重点措置期間中の「臨時休業」を知らせる張り紙が目立った。居酒屋店主によると、酒類を出す時間は午後7時までと限られており、店舗運営の採算が取れないと判断した事業者が多いという。

 本島中南部で居酒屋などを経営する味自満チェーンも、居酒屋5店舗と回転寿司店2店舗で、5月5日までの休業を決めた。同社の担当者は「(今月1日に始まった)午後9時の営業終了までなら許容できたが、営業できる時間が短すぎると赤字額も増える」と休業の理由を説明した。

 重点措置の期間中も営業する店舗は、対応策に奔走する。

 沖縄食材を使ったスパイスカレーなどを提供する「トラットリア・ハンミ」(那覇市前島)は、大阪府が飲食店に設置を要請する「CO2濃度測定器」を自主的に導入するなど、感染対策を強化するために12~18日は営業を休み、19日以降は時短営業の範囲で営業を続ける考えだ。鈴木貴絵代表は「閉めてしまうと生産者や仕入れ先への影響が大きい」と語る。

 那覇市内のバーでは、営業終了時間を午後7時に設定した。店主の男性は「知人の来店が主だが、(営業時間を)延ばすとだらだら居てしまう」と語り、早めの退店を促す措置として閉店時間を時短要請よりさらに前倒ししたという。

 ■たらい回し

 時短要請による感染拡大防止の効果を巡っては、時短に応じた店舗に協力金を迅速に支給できるかどうかも問われてくる。

 本島中南部でレストランと居酒屋など4店舗を営む事業者は、1、2月に県の時短要請に応じ、協力金を支給申請した。だが、申請から2カ月がたっても、協力金は振り込まれていないという。この間にも経費はかさみ、家賃の支払いなどに窮する状況だ。

 事業者は「県や協力金のコールセンターなどに審査状況を問い合わせても、的確な回答がなく、たらい回しされている」と憤る。

 県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長によると、県内全域が時短要請の対象だが、重点措置が適用された本島9市以外では時短の対象外だと思っている事業者が多いといい、周知にも課題が指摘される。

 また、重点措置適用地域では協力金の交付に当たり過去の売上高の精査などが必要となるため、鈴木理事長は「支給が遅くなることが心配。早めに支給してほしい」と語った。

(池田哲平、沖田有吾)