那覇市で犬の殺処分がゼロ 飼い主捜索強化が奏功か 猫の殺処分も年々減少で43匹 


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 【那覇】那覇市は7日の定例記者会見で、2020年度の犬の殺処分がゼロだったと発表した。13年の改正動物愛護法施行以降、収容数が減る中、収容した犬の飼い主を捜して返還する取り組みに注力したことが要因とみている。猫の殺処分も年々減少し、20年度は43匹だった。

 那覇市は13年度の中核市移行に伴い、県から犬や猫の収容などの業務を移管された。同年施行の改正動物愛護法によって、自治体は犬や猫の引き取りについて厳しく対応するようになり、「引っ越すので飼えない」などの理由では引き取りを断っている。

 那覇市における12年度の収容数は犬254匹、猫422匹だったが、20年度は犬92匹、猫54匹に減った。市は「終生飼育・適正飼育の普及啓発がある程度進んだ」とみる。野良猫の避妊去勢手術をする「TNR」も実施している。

 市は収容した犬の飼い主捜索に力を入れ、登録台帳による捜索や聞き取り調査、ちらし配布によって返還率を高めてきた。20年度は92匹を収容し、81匹を返還、11匹を譲渡した。

 一方、猫は交通事故などで負傷して収容される事例が多く、元気な状態で収容されても登録制度がないため返還が難しいという。20年度に収容した猫54匹のうち、返還は2匹、譲渡は9匹、殺処分は43匹だった。殺処分された猫は治癒の見込みがなく譲渡が適切でない猫などで、元気だが譲渡先が見つからなかった事例はなかったという。

 那覇市は6月1日施行予定の「同市動物の愛護および管理に関する条例」で市や市民、飼い主らの責務や飼い主の順守事項などを定めている。会見で玉寄隆雄環境部長は「猫の殺処分は減少しているが、現在も少ない数字ではない。条例を通して適正飼育を推進し、収容される猫を減らしていきたい」と話した。