【伊江】「民家体験泊(民泊)の受け入れ民家としての足跡を、子や孫に残したい」と話す上間君子さん(75)=伊江村東江前=はこのほど、これまでの足跡をアルバム5冊にまとめた。2008年から約2800人の修学旅行生らを受け入れており、民家体験の一つとして独自に宿泊者に琉装体験も提供している。体験を楽しむ生徒らの姿を上間さん自身もカメラに収めてきた。
上間さんは村内で50年以上にわたり「きみこ美容室」を営む美容師。琉装の着付けなどをして生徒をもてなしている。アルバムには琉装姿の写真や生徒らの感謝の手紙などを収めた。アルバムをめくりながら思い出を語る上間さん。心の病を抱えて修学旅行に参加することを直前まで悩んでいたという高校生とは、「人生の悩みなどを語り合った」と記憶をよみがえらせる。
東日本大震災の被災地から子どもたちを招く「ティーダキッズプロジェクト」で訪れた親子の話になると涙を拭った。震災の影響で夫を亡くして2人の子どもを育て、仕事中に母親が2本の指を切断したという。沖縄で元気をもらいたいと参加した親子が上間さん宅で琉装を体験した。「その時の写真が見つからない」と悔やむ上間さんだが、楽しんでいた親子の姿を今でも目に焼き付けている。
上間さんは民泊で訪れた子どもたちに対しては「都会に疲れたらいつでもお母さんの所へおいでねと言って送り出す」と語った。
観光協会の比嘉ナエ子会長は「民泊の素晴らしさを伝えるアルバムだ。観光協会の宝であり、財産だ」と喜んだ。
(中川廣江通信員)