「環境配慮」も移設推進 3首長 国、面積縮小要求に「唐突」 那覇軍港の浦添移設


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那覇港湾施設移設に関する会談を終え、会見を開く(左から)城間幹子那覇市長、玉城デニー知事、松本哲治浦添市長=12日、県庁

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)移設について玉城デニー知事と城間幹子那覇市長、松本哲治浦添市長は、浦添西海岸を埋め立てて造る代替施設の面積を縮小するよう政府に求める考えを示した。環境に配慮する姿勢を見せて批判を和らげたい考えだが、軍港移設を認める立場は変わらない。

 県と那覇、浦添の両市は3月末に民間部分の形状案をまとめた。それに先立つ3月16日、松本市長は上京し首相官邸で菅義偉首相と会談した。関係者によると、目に見える成果を出したい菅首相は「四半世紀以上放置されてきた軍港問題をそろそろ終わらせたい」と意気込んでいるという。松本市長に対しても議論の加速を求めた。

 自民党関係者は「今後、市長が計画を遅らせるような要求や議論をすることはない」と語った。

 玉城知事は昨年10月、那覇軍港の遊休化に触れ、先行返還を加藤勝信官房長官に求めていた。移設反対への転換を期待する声も県議会与党内にあった。だが、13日に両市長と会談した後、玉城知事は「移設なき返還を求めたわけではない」と否定、移設を進める考えを強調した。県民からの反発も想定され、名護市辺野古の新基地建設との整合性も問われ続ける。

 松本市長は知事が先行返還に言及した真意を確認したいとして会談を申し入れていた。3者会談を終え、行政関係者の一人は「政治的な話は全て終わった。あとは事務方が粛々と手続きを進めるだけだ」と語った。

 地元が代替施設の面積縮小を求める方針となったのに対し、防衛省内からは「唐突な印象だ」と戸惑いの声が上がる。2013年に日米が合意した統合計画は、代替施設を「49ヘクタール」と明記している。

 防衛省幹部は「はなからやらないというわけではない」としつつ「統合計画に面積まで明記しているのを見直すのは、非常にハードルが高い」と述べた。一方、政府与党関係者は「移設が推進できるかがポイントになる」と語る。代替施設の整備を地元が推進する姿勢を見せれば、一定の配慮もあり得るとの認識だ。

 軍港代替施設の面積縮小要求について県関係者の一人は「環境に配慮する立場から軍港部分の縮小を求めるのは自然な流れだ」と正当性を強調。「政府が言う合意の後、さまざまな経緯があって民港も大きく形状が変わった。軍港についても改めて検討されてもいいのではないか」と語った。 (明真南斗、吉田健一、知念征尚)