辺野古工事、評価点急落にもかかわらず同じ企業体が連続受注 入札公平性に疑問


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普天間飛行場移設に伴う新基地建設の現場

 【東京】2018年と20年の2度にわたって一般競争入札が行われた沖縄防衛局発注の米軍キャンプ・シュワブ沿岸の埋め立て工事で、受注の決め手となった、価格以外での評価の点数が大きく下がっているにもかかわらず、2度目も同じ共同企業体(JV)が受注していたことが14日までに、分かった。1社単独だった2回目の入札の点数では、12のJVが競合した1回目の入札で工事を受注できなかった可能性がある。専門家は「同種の連続した工事で点数がこれほど違う理由が分からない」と入札の公平性に疑問を呈した。

 工事は、防衛局が18年2月に一般競争入札を実施した「シュワブ(H29)埋立工事」の3工区。現在、工事が進められているキャンプ・シュワブ南側の区域に当たり、全部で1~5工区まであるうちの1区で、20年2月にも、同工区で「シュワブ(R元)埋立追加工事」として2度目の入札が行われた。

 いずれの工事も、県外の大手ゼネコンと海洋土木に特化したマリコン、県内の建設会社の3社による共同企業体(JV)が受注した。

 1回目の工事は、11のJVと競合の末に64億2千万円で落札した。この工事の入札では価格面での差異はほとんどなく、より低い金額で入札しようとしたJVもあったが、技術力を評価する基準である「加算点」が、参加した12のJVの中で最も高い31点(40点満点)だったことが落札の決め手となった。

 一方、2回目の同工区での工事は「シュワブ(R元)埋立追加工事」として発注されたが、入札に参加したのは1回目の工事を落札した1JVのみで、加算点は前回から5点低い26点(同)になっていた。工事は28億3500万円で落札された。1回目の工事で、落札したJVより低い入札額だったにもかかわらず落札できなかった他のJVの加算点が26点より高い28点で、2回目の点数ではこのJVが工事を落札できなかった可能性がある。

 防衛局は本紙取材に、同種工事で加算点が下がった経緯について「専門的な知識を有する担当部署において審査している」とだけ答えた。 

(安里洋輔)