「コロナがあったから成長できた」相撲の名門日大で日本一目指す 木﨑誠仁<決意の春>


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高校の卒業式後、相撲の名門・日本大学で使うまわしを手に意気込みを語る木﨑誠仁=3月1日、中部農林高

 相撲の名門・日本大学に進学した木﨑誠仁(18)=中部農林高出=は、ある感謝を胸に入学前から鍛錬にいそしんできた。「コロナがあったからこそ精神的にも肉体的にも成長できた」。進学前に新調したまわしはすでに使い込まれ、黄色くなっていた。腐らずに1年間続けてきた成果を大学の舞台で発揮するつもりだ。

 父は海邦国体の県勢強化のために来沖し、中部農林高相撲部を作った智久さん。十両の美ノ海と昨年けがで引退した木﨑海の兄弟とはいとこで、日大の木﨑孝之助監督は伯父に当たる。高校では2年生でチームの大黒柱となり、当時から「集大成となる3年生で日本一を狙う」と意気込んでいた。

 しかし、全国総体や国体など1年に5度ある全国大会はコロナで全て出場できなかった。「今できることをやる人が勝ち上がる人になれる」。起こることには何かしらの意味があると捉え、準備を怠らなかった。「3年間で一番調子がよかった」と大会の有無に関わらず、やるべきことをやってきた。

 一昨年の冬から悩まされてきた腰痛は、コロナ禍に体と向き合うことで解消された。腰痛の原因は、高校1年生の時に負った大けがの復帰後、無意識に腰に負荷を掛ける体の使い方をしていたためだ。器具を使わず自重での筋力・体幹トレーニングで基礎固めをし、体を厚くした。身長183センチ。食トレで体重は1年間で10キロ以上増やし123キロに。孝之助監督からの「太ってから来い」という課題をクリアした。

 高校で日本一という目標は達成できなかったが「実力不足」と潔い。日大は全国学生選手権で2連覇中の強豪だ。「日本一強い大学で1番強くなる」。まずはレギュラーに与えられる黒色のまわしを早くつかむことを目標に、「努力して自分の可能性を広げたい」と意欲にあふれている。

 (古川峻)