「ナンガー坊主」供養し区民の健康祈願 国頭・辺野喜地区の伝統行事


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
豚の頭を供えてナンガー坊主の供養をする区民ら=3月28日、国頭村辺野区上ル口の前の道

 【国頭】国頭村辺野喜区(山城榮区長)に古くから伝わる、伝統文化行事「ナンガー坊主」を供養する儀礼が3月28日、山城区長や区民らが参加して、集落内東側にある「上ル口の前の道」で「ナンガー」に向かって、御願(うがん)が行われた。区民らは、朝から儀礼に供える豚肉や各家庭へ配布する豚肉を調理した。

 儀礼は3年ごとに豚の頭を丸ごとゆでた豚肉、お酒が「上ル口の前の道」に供えられる。

 区の高齢者である宮城清さん(87)が地元の方言で辺野喜の平安を願う唱えをし宮城さんの合図で、参加区民全員が両手を合わせて一礼した。

 宮城さんは「今も昔も拝む基本は変わらない。ここで暮らす人たちが穏やかに、子どもたちやみんなを見守ってください、と拝んでいる」と話した。

 ナンガー坊主の話は辺野喜区字誌によると、辺野喜の隣の宇嘉の女性たちを辱める歌を、坊主が畑の猪垣の上で歌っていた。宇嘉の人々はその坊主を殺し辺野喜のナンガーという山に埋めた。辺野喜の人々は自分たちの山に埋められている坊主のたたりを恐れ、上ル口からナンガーに向かって拝み、ナンガー坊主を供養するようになったとされる。

 山城榮区長は「昨年まで、この行事を廃止するか議論されてきた。結論が出ないまま、今年はどうするかというところだった。区民の健康を願い、今後とも大事な行事として残していきたい」と行事への思いを話した。
 (新城高仁通信員)