聖火ランナー「残念」「どんな形でも」代替策に望み 沖縄本島のリレー公道中止


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聖火リレーのゴール地点に予定されている糸満市摩文仁の平和祈念公園

 開催まで2週間余り。沖縄本島の公道で予定されていた東京五輪の聖火リレーは、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ中止の見通しとなった。準備を進めてきたランナーや、前回1964年の聖火リレーの様子を知る地域住民らは残念がるとともに、代替策に望みをかけた。

 聖火ランナーに選ばれている陸上選手の与那原良貴さん(25)は、5月2日に出身地の浦添市内を走る予定だった。「それなりの思いがあったのでものすごく残念。国内開催は一生に一度しかないだろうし、生まれ育った地元で走るのを楽しみにしていた」と落胆した様子だった。規模を縮小する案については「どのような形でも、ランナーとして役割を果たしたい」と決意を込めた。

 那覇市の仲尾次嗣明さん(84)は今年3月、県実行委員会の追加発表でランナーに選ばれた。「元気な高齢者の姿を見てもらいたかったが、コロナの状況を考えるとそれに応じたコースでいいと思う」と受け入れる。県内での実施に期待し「決まったコースを喜んで走りたい」と前を向いた。

 日本復帰前の64年、聖火リレーがスタートした沖縄の第1走者を務めた宮城勇さん(78)=浦添市=は、今回が2回目の出走となる。「決断するには時期が早く、状況を見ながら最終的な判断をしてもいいのではないか。聖火リレーを楽しみにしている人が県内各地におり、各地域の競技場を使用するなど他の方法もあるはずだ」

 64年に聖火の宿泊地となった名護市嘉陽。空前のにぎわいを見せた地域は今回もコースに選ばれており、聖火を迎える催しなどの準備を進めてきた。当時の様子を知る比嘉達也さん(67)は「とまどっているが、完全な中止ではないので、前向きに何ができるかを考えていきたい」と期待を込めた。