子の貧困支援、止めるわけにいかない…国予算の内示遅れに現場は


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
(イメージ写真)

 「沖縄子供の貧困緊急対策事業」の2021年度交付額が自治体に提示されないため、既に年度が始まっているにもかかわらず、事業所との契約が遅れる自治体が出ている。子ども支援の現場を止めるわけにいかず、自治体や未契約で事業を進める事業所からは不安の声が上がる。

 この事業で各自治体は例年、内閣府に事前に希望を伝える要求額で予算を組み、3月議会を経て決定する。これまでは3月の内示を受けて事業額を決定し、事業者と契約をしてきた。

 これまでは要求額通りに交付された自治体が多い。昨年度、支援員26人の配置、居場所23カ所の運営支援に、2億1600万円余りを交付決定された那覇市も「今年も要求額通りと想定している」と受け止める。

 ただ、実際の交付額が要求額より少なくなる可能性はあり、不足分は自治体が負担するか、事業を圧縮する必要がある。県も15日現在、「金額が決まらないので契約できない」とし、決定次第、4月1日にさかのぼって契約する予定だ。担当者は「事業契約に間に合うよう前年度中に内示するのが本来の流れ。今年は金額も分からず不安だ」と話す。

 南風原町は内閣府からの内示を待って事業所と契約しようとしたが、4月になってもめどが立たないため「事業費を変更する可能性がある」と明記して契約の準備を進めている。町内の事業所は「毎日の暮らしの中で居場所を必要とする子どもたちがおり、職員には家族もいる。大切な事業なのに事業費が見えないのは本当に不安だ」と訴えた。
 (黒田華)