「映画みたいでびっくり!」 漂着ペットボトルに手紙 高校生が発見


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ペットボトルに入っていた中国語で書かれた手紙(新田清崇さん提供)

 【八重瀬】「映画みたいでびっくり」―。沖縄県八重瀬町の向陽高校2年1組(当時)の生徒は3月15日、町内の港川漁港付近で、ペットボトルに入った手紙を発見。中国語で「家族の幸せを願う」思いがしたためられた内容に生徒たちは驚いた。生徒は「中国から海を渡って流れてきのかな」と想像を巡らせた。

 手紙を見つけるきっかけは環境問題への関心だった。クラスの新田清崇さん、金武世夏さん、屋良捺未さん、知念ノアさんの4人が海に漂うごみ問題を考えようと、同校のSDGs(持続可能な開発目標)特別講座を受講。39人の級友に海のごみを拾うビーチクリーンを提案した。最初は「なんで人が捨てたごみを拾うの」と否定的な級友もいたが、4人が「世界の海の現状」を伝えると、全員が賛同してくれた。

ビーチクリーンをし、中国から流れてきたとみられる手紙を見つけた(左から)知念ノアさん、金武世夏さん、屋良捺未さん、新田清崇さん。中央は島袋智識教諭=3月22日、八重瀬町の向陽高校

 当日、ペットボトル、空き缶、瓶など14袋分のごみを拾った。分別作業中に、ある生徒が緑色のペットボトルを見つけた。「紙が入っている」。ふたを開けて出すと中には茶色に変色したB5サイズの紙が入っていた。ぬれてはいないが乾燥しボロボロと崩れる。なんとかつなぎ合わせ、中国語コースの知念さんが翻訳した。「お父さん、お母さん、家族や友達の幸せを願う」といったことが書かれていた。屋良さんは「祝いの内容で良かった」、金武さんは「まさかこんな映画みたいなことが本当にあるとは」と語った。一方、新田さんは「ホラーで最初は何が書いているか分からず恐怖だった」と振り返った。手紙は触っただけで崩れ、風に飛ばされて無くなってしまった。

 4人は「手紙のおかげでビーチクリーンも楽しくできた」と振り返る。講座を担当した島袋智識教諭は「こんなに自分たちで動いてくれるとは」とうれしそうにたたえた。4人は今後もごみ拾いを続け、海の環境問題について考えていく。
 (照屋大哲)