【識者談話】日米共同声明「米中対立で在沖米軍が最初の標的に」 我部政明琉球大名誉教授


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 日米首脳の共同声明には、1969年の首脳声明以来初めて「台湾」が盛り込まれた。内政干渉を拒否する中国の反発は必至で、日中間の軍事的緊張の高まりも助長することになる。「平和的解決」を前面に出した今回の声明は、69年のものと比較して穏やかな表現だという印象を受けた。これは対中国との軍事的緊張が深刻化し、有事のリスクがより現実味を帯びている証拠と言えるだろう。

 安全保障を巡り米中の軍事対立が激化する中、日本は自国の防衛力の強化も明言した。台湾に関し万一、米中が対立した場合、最初に狙われるのは在沖米軍基地だろう。県民の生命にも関わる問題だ。果たして自衛隊に有事に対応できる軍事力が備わっているのか。日本の覚悟と、その自信を支える根拠も乏しい。対米追従の姿勢によるリップサービスでは許されない。

 辺野古新基地建設は従来の見解の踏襲だ。共同声明では度々「民主主義」の尊重を強調している。日米の言う民主主義は、沖縄には適用されていないことが見て取れる内容だ。

 (国際政治学)