沖縄県のワシントン事務所「面談者3倍、政策反映は道半ば」活動報告


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6年間の駐在活動を評価・分析する県ワシントン事務所報告書

 沖縄の米軍基地問題の解決を米国政府や米連邦議会などに直接訴える目的で、県が2015年度に設置したワシントン事務所の職員が、19年度に面談した米国関係者は587人で、設置当初の15年度の190人から3倍に増えた。県知事公室が初めてまとめた6年間の活動報告書で示した。同事務所を巡っては、設置当初から費用対効果などを疑問視する声があるが、県はこれまでの駐在活動で「一定の成果が表れた」と強調。今後も継続し、さらに取り組みを強化する必要性を示唆した。

 県は6年間の活動を(1)開始期(15~16年度)(2)継続期(17~18年度)(3)拡大期(19~20年度以降)に位置付け、各段階の活動状況と推移をまとめた。

 現段階に当てはまる活動拡大期では、政府関係者や連邦議会調査局との面談、有識者らとのネットワーク構築に加え、国防権限法案に辺野古新基地建設問題やPFOSなどの環境汚染問題を反映させるため、議会関係者への個別面談などを増やし、積極的な働き掛けをしていると強調した。

 米軍関係の現地報道や公聴会の情報など、駐在員が米国内で収集した情報収集件数は、19年度158件で、15年度の17件から約9倍に増えた。

 県は6年間の活動を振り返り、「一定の成果が表れた」とするも、辺野古新基地計画の断念など「米国の政策への反映についてはいまだ道半ばの状況」だと分析し、これまでの成果を生かすためにも継続的な取り組みが必要だとした。

 その上で21年度の活動方針は、特にバイデン政権への働き掛けのため、民主党系関係者とのネットワーク構築に照準を絞る考えだ。

 また本年度から、県が作った米軍基地の歴史や沖縄の過重な基地負担について解説した動画コンテンツの英語版を新たに発信するほか、情報伝達の強化策として米在住のインフルエンサーを活用した情報発信方法などを模索する。

 県基地対策課の城間敦副参事は、地道な働き掛けにより「基地問題の正確な情報や辺野古新基地建設問題に関する沖縄の考え方について、米政府や米連邦議会など関係者の認識が深まりつつある」とし、県としては継続的な活動展開を見込んでいると述べた。