アフリカ豚熱陽性の豚死がい 台湾に漂着 沖縄県も警戒


社会
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 今月初めに台湾の海岸に漂着した豚の死がいから、アフリカ豚熱(ASF)のウイルス遺伝子が確認され、沖縄県内でも養豚場の衛生管理の徹底や漂着物の通報が農家に呼び掛けられるなど、警戒を強めている。台湾に漂着した豚の死がいは、ASFの発生地域である中国から流れ着いたとの見方がされている。県内で昨年発生した豚熱(CSF)より致死率が高く、有効なワクチンや治療法がないため、国内侵入を許せば養豚産業に深刻な被害が出る恐れがある。

通報・対策徹底呼び掛け

 ASFは豚とイノシシの家畜伝染病でCSFとはウイルスが異なる別の病気。人には感染しない。日本への侵入は確認されていないが、アジア地域では2018年以降に中国、韓国、マレーシアなどで発生した。

 台湾当局の発表などによると、今月4日に台湾北部の新北市萬里区の漁港で、豚の死がいが見つかった。検査でASFの陽性が確認され、ウイルスの遺伝子配列が中国のウイルス株と同一だった。

 台湾ではこれまでにASFの発生は確認されていない。台湾当局は5日に、発見地点から半径10キロの養豚農場11戸、2719頭の豚の移動を制限して検査。陰性が確認された6日に移動制限を解除した。

 日本の農林水産省は7日付で各都道府県に対し、豚などの死がいが漂着した場合に迅速・適切な処理を実施することや、発見時の国への報告などを要請した。

 台湾と隣接する沖縄県も8日付で、県内4カ所の家畜衛生保健所や市町村などを通して、各農家に家畜の死がいが漂着した際の通報などを呼び掛けた。また、豚を飼育する施設にウイルスが持ち込まれないよう、飼養衛生管理基準の順守を農家などに呼び掛け、畜舎や車の消毒などの徹底を求めている。

 県農水部の担当者は「各事業者に改めて徹底をお願いしたい」と話した。

 (塚崎昇平、呉俐君)