城北中野球部、首里を清掃 「2年分の大会」信じて


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守礼門前の通りを清掃する城北中学校の野球部員=18日、那覇市首里寒川町

 那覇市立城北中学校の野球部は18日、守礼門周辺を清掃した。出場を予定していた那覇地区春季大会が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になり、空いた時間を地元貢献に充てた。部活の集大成となる中体連の地区大会が5月以降に始まるが、コロナの猛威は続いている。昨年度の県大会中止の悲劇が頭をよぎるが、部員は開催を信じて「今できること」を懸命に取り組む。

 「おはようございます」。清掃活動中、ユニホーム姿の部員は通りすがる観光客に大きな声を掛けた。清掃の手を止め、帽子を脱いで深く一礼。その姿を見た観光客も笑顔で会釈を交わした。道路の落ち葉を掃くだけでなく、石垣の隙間に生えた雑草を丁寧に取り除いていた。

 部のモットーは「応援したくなるチーム」。この春卒業した先輩部員は、学校の全学級で級長を務めるなど学校全体の模範となった。現3年生も先輩を見習い、あいさつや清掃活動に率先して取り組んでいる。

 昨年の中体連は地区大会のみを開き、地区大会の上位が参加する県大会は中止になった。先輩は地区大会ベスト8で県大会の切符を手にしていた。県大会出場がついえると涙を流した。

 現主将の松田陽貴さん(3年)は「何事にも意識が高く、尊敬できる先輩だった。先輩の分まで頑張り、県大会優勝を目指している」と決意を語った。県大会に懸ける思いは2年分だ。

 感染防止のため、朝練はできない。部員は休み時間に体幹トレーニングに励むなど、工夫を重ねながら大会に備えている。毎日の検温やマスク着用など、学校生活でも制限は多いが「しっかりやって、優勝したい。自分ができることをやるだけだ」と前を向く。

 顧問の宮國稔基教諭は「去年はあらゆる大会が中止になり、生徒に伝えるのがつらかった。高校が開催されているのに中学は中止ということもあり、説明も難しかった」と振り返った。今年も感染が拡大し、先は分からない。「生徒は『俺たちが広めているわけじゃないのに、何で』という思いも抱えている。生徒は開催を信じ、頑張っている。大会に出場させたい」と願った。