団体3連覇が懸かる全国総体がコロナ禍で中止に―。昨年4月、首里高なぎなた部で主将を務めていた宮城昭奈(18)は「自分の代でも優勝したかった」と喪失感に見舞われた。4、5月は部活動自粛で、部員のモチベーションは下がった。進学準備もあるため、ミーティングを重ね、保護者とも話し合い、おのおので進退を決断した。7月の県総体を前に3年生8人中4人が引退を決めた。
「みんなで目指した全国がなくなり、悔しい思いをした。県総体は全国の舞台という気持ちで臨んだ」と宮城。引退した4人も駆け付け、人一倍の応援で仲間を奮い立たせた。演技ではライバルの知念に軍配が上がったが、団体5連覇、宮城は個人競技も制した。
保育園でなぎなたに触れ、小中高と励んできた。高校で気付いたのはチームプレーの大切さ。「それまでは1人でやっているという思いがあった。高校ではチームのみんなとやっているから続けられたと思う」と力を込める。
全国を経験し、多くの猛者と対戦してきた。「みんな構えが違うし、沖縄にいないタイプも多い。苦手なのは自分と似たタイプ。先に仕掛けてくるのではなく、よく観察されるとやりづらい」と改めて奥深さを感じつつ、次のステージ、大学での競技に進む。
後輩たちも日々成長している。一つ下で与那原中から同じ大城志歩、小川陽らが現チームを引っ張る。いまだコロナ禍の中だが、安心して後を任せる。
尊敬する先輩の安次嶺心らがいる鹿児島の鹿屋体育大に進学。同校入学式で宮城は230人の入学者を代表し「先輩や同期と切磋琢磨(せっさたくま)し、豊かな人格の形成をめざす」とあいさつ。在学生を代表して3年の安次嶺が「失敗を恐れずに自由を楽しんで新しいことに挑戦してほしい」と激励した。
大学では、上達のために効果的なトレーニングの研究をしたいと意気込む。「体育教師になって競技指導者になるか、警察官にも興味がある」と将来の夢を描いている。
(大城三太)