「残念」「仕方ない」 市民、ランナーら声落とす 宮古島聖火リレー中止


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 【宮古島】宮古島市での五輪聖火リレー中止を受けて市民やランナーは「楽しみにしていただけに残念だ」と声を落とした。一方で新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況から「防止のためには仕方ない」との声もあった。

 聴覚障がいがあるトライアスリートの加藤伸一さん(61)は、人生を変えてくれた人工内耳の存在を多くの人に知ってもらうきっかけになればとランナーを引き受けた。中止に「とても残念」と声を落とす。30代で耳が聞こえなくなり、以降20年間人工内耳の存在を知らずに筆談などで過ごしてきた。50代で人工内耳に出会い人生が変わった。「弱者を一人でも救うことを自分の使命として、これからも頑張りたい」と前を向いた。

 市内の30代男性は「中止に正直ほっとした」と語った。宮古島市では1月末から2月にかけて高齢者施設で大規模なクラスターが発生した。家族が高齢者施設で働いていることから「聖火で人が密になって、感染状況が悪化してあの時のような状況になったらと心配していた」と明かした。

 宮古地区医師会の岸本邦弘副会長は「楽しみにしていた人も多いが、市内の状況を見て、まずは命、感染防止だという判断だろう」と市の中止決定を評価した。「人が集まる、人が動くことで感染リスクが高まることは間違いない。まずは収束に向けて一致団結することが必要だ」と強調した。