![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/002/202104/c4c4ef63f0cb83d7fae062fd3ed54c2a.jpg)
ラウンドを重ねるごとに手数が減っていく。ポイントを奪われ劣勢の局面打開を狙った右ストレートも空を切り、疲労が色濃くなる比嘉大吾。「自分のボクシングができていなかった」と動きに精彩を欠き、獲得したばかりの王座から陥落してしまった。
サウスポーにやりづらさはあった。それでも身長の高さも想定して「しっかり準備はしていた」つもりだった。しかし1ラウンドから攻めあぐねる。右腕を頭の前に突きだし、一定の距離を保つ相手の懐になかなか飛び込めない。逆にタイミングを合わせられジャブをもらい、後手に回ってばかり。
頭を振ってかわすべきところを、ブロッキングでよけるなど守りの面でも本来の動きができない。決定打は受けなくても、攻撃に転じるタイミングは遅く、押されているのは明らかだった。手拍子で沸いていた会場も8、9ラウンドに差し掛かると重たい雰囲気に。見るからに焦りの表情を浮かべる比嘉の大振りは見透かされたようにかわされるなど、試合は最後まで挑戦者のリズムだった。
野木丈司トレーナーは「西田選手というより比嘉が動けていなかった。打てるタイミングでいかない。以前にはなかった」と厳しく評価した。
待ち遠しかった地元沖縄での試合。比嘉は終了後、観客に向かって申し訳なさそうに手を合わせ、陳謝と感謝の気持ちを表した。敗因は「西田選手の距離でやられ、それをつぶせなかったのが大きい」と振り返りつつ「自分の動きができていなかった。結果が全て」と力不足を認めた。
(謝花史哲)