喜納が女子1500メートルで大会新 上与那原は400メートルで自己ベストを更新 陸上ジャパンパラ


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 東京パラリンピックの代表最終選考会を兼ねる陸上のジャパンパラ大会第1日は24日、香川県高松市の屋島レクザムフィールドで行われ、女子1500メートル(車いすT53・54)に出場した喜納翼(タイヤランド沖縄)が3分42秒42で自身が持つ大会記録を塗り替えた。男子400メートル(車いすT52)では上与那原寛和(SMBC日興證券)が59秒22で自己ベストを更新し、2位に入った。

 女子400メートル(上肢障害T47)は前回リオデジャネイロ・パラリンピック銅メダルの辻沙絵(日体大教)が58秒45の日本新で制した。一昨年の世界選手権(アラブ首長国連邦)の2位に相当する好タイム。

 男子100メートル(義足T64)は大島健吾(名古屋学院大)が11秒37のアジア新で優勝し、東京パラ代表に前進。同1500メートル(知的障害)は赤井大樹(十川ゴム)が3分53秒35のアジア新で制した。

 同400メートル、1500メートル(車いすT52)の佐藤友祈(モリサワ)は自身の持つ両種目の世界記録を更新できなかった。


喜納、向かい風苦にせず 大会記録0秒52縮める

T53・54女子1500メートル 終盤で加速する喜納翼=24日、香川県高松市の屋島レクザムフィールド(長嶺真輝撮影)

 T53・54女子1500メートルにただ一人エントリーした喜納翼。伸びやかなストロークで徐々に加速していく。中盤過ぎまで自身が持つ大会記録を下回るペースだったが、後半でスパートをかけた。最後のバックストレートは向かい風だったが、「気持ち良く走れた」と苦にせず、大会記録を0秒52縮めた。

 今は持久力向上に向けた練習を積む。「疲労がたまっている中でどれだけ走れるか」をテーマに出場し、結果を残した。マラソンで東京パラの代表に内定することは濃厚で、秋にもマラソン大会が続く。「その時期にピークを持っていけるように整えたい」と今後を見据えた。


冷静に現状見詰める 上与那原 1年5カ月ぶり大会

T52男子400メートル スタートと同時に一気に加速する上与那原寛和=24日、香川県高松市の屋島レクザムフィールド

 400メートルの号砲が鳴った。5レーンに付いた上与那原寛和の目標は「60秒の壁をクリアする」こと。前輪が弾むほど力強く、速いピッチで車輪を回し、50メートル付近まで一気に加速していく。中盤にかけ、大きなフォームでさらにスピードを上げていった。

 最後の直線は強い向かい風。レース前から最終ポイントで「いかに減速せずに走るか」をテーマに掲げ、粘り強く車輪を回し続けた。結果は自身初の1分切りとなる59秒22。コロナ禍の感染リスクを憂慮し、大会出場は1年5カ月ぶり。充電期間に徹底してスタートダッシュを鍛えてきたことを念頭に「少しずつ成果は出てきている」と練習の成果を実感したようだ。一方、この日最初の種目だった得意の1500メートルは自己ベストを2秒以上下回り、東京パラで表彰台の頂点を争う世界記録保持者の佐藤友祈(モリサワ)に23秒もの大差をつけられた。「パワーとスピードがまだまだ足りない。少しでも佐藤君に近づいていきたい」と高みを見据える。

 400メートルと1500メートルに出走する東京パラまで、あと4カ月。パラリンピック4大会連続の出場となるベテランは「目標は表彰台に上がること。筋力の弱い部分を強化していく」と冷静に現状を見詰め、成長の道筋を描く。

 (長嶺真輝)


予想よりいいタイム

T64男子100メートル 新しい義足を付けて疾走する又吉康十=24日、香川県高松市の屋島レクザムフィールド

 T64男子100メートルで7位だった又吉康十(ゼンリンDC)の話 数日前に幅跳び用の新しい義足が届いて、調整がてらそれを付けて走ったら予想よりいいタイムが出た。2日目は(東京パラ出場を目指す)幅跳びなので、いい記録が出るかもしれない。