25日投開票のうるま市長選は、無所属新人で、前市議の中村正人氏が勝利したのは対抗馬の照屋寛之氏よりも早い段階で出馬を表明し、取り組んだことが大きい。昨年12月19日に出馬表明し、1月21日に事務所開きをして、迅速に態勢をつくったことが奏功した。
市議を6期22年務めた実績をアピールしながら、企業へのあいさつ回りや政策の訴えなどに力を入れた。その後、市内外の企業や協会など約100団体から推薦を取り付け、票の上積みを図った。
中村氏は早期から「島袋俊夫市長の後継者だ」と繰り返し訴えた。3期12年続いた現市政の方向性を継続することが、市行政の安定につながると市民に理解してもらう狙いがあった。その訴えが浸透し、2017年の前回市長選で島袋俊夫市長に投じられた3万1369票の多くが、中村氏へ回ったとみられる。
市議を22年務めた経験により、政治の現場やうるま市が抱える課題について熟知しているとアピールしたことも支持につながった。
告示され選挙戦が本格化すると、中村氏を推薦した自民や公明の県議が連日うるま市に入り、組織票固めを徹底した。政党支持層をうまく取り込んだことで、基礎票を伸ばすことに成功した。
一方で照屋氏は、中村氏に比べ初動が遅れたことが敗北の大きな要因となった。出馬表明は中村氏の1カ月半後だった。市長給与50%カットや学校給食費の段階的無償化などの目玉公約は市民の関心を引きつけたが、浸透するまでの時間が足りないまま、投開票日を迎えた。
(砂川博範)
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