伊良波、嘉手納 2大会連続で団体組手V 空手・県中学生春季大会


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 空手の第14回県中学生春季大会は25日、豊見城市の沖縄空手会館で行われ、男子団体組手で伊良波が一昨年の前回大会から連続優勝した。伊良波の川村龍輝は代表男子個人組手と2冠を達成した。女子団体組手の嘉手納も2大会連続で頂点に立った。男子団体形は拳龍同志会、同女子は凜道場が栄冠をつかんだ。男子個人形は神谷晃志(安岡)、同女子は具志堅あい(大宮)が制した。代表女子個人組手で松田奏乃(羽地)、1年男子個人組手で金城宇月(伊良波)、同女子で川満理裟(沖尚)がそれぞれ優勝した。

男子個人組手 同門の當山泰生に上段突きを決めた伊良波の川村龍輝(奥)=25日、豊見城市の沖縄空手会館

◆川村(伊良波)、好敵手倒し2冠/尽きない向上心の成果

 

 男子個人組手決勝は剛柔流仲本塾で小学時代からのライバルである伊良波の川村龍輝と當山泰生が向き合った。川村は「自分から打つとカウンターを受ける。焦ったら負ける」と、互いに手数が少ないまま残り18秒。當山の上段突きに「狙っていた」と、身を引いて後の先を奪う上段突きを見舞い、1―0で逃げ切った。

 団体戦決勝でも川村は先鋒でチームを引っ張る活躍が光った。見計らったようにカウンターを決め、危なげなく勝利を重ねた。中堅が敗れたが、大将の當山が細かくステップを踏む相手に「集中していた」と突きを次々と決めた。

 個人・団体合わせて10戦全勝で、2冠を達成した川村は勝因を「努力」と言い切った。2時間の部活と週3回の道場に加え、「皆が見ていない所でも練習する」と自主練を毎日続けてきた。原動力は「兄を越えるため」。兄の真太郎は南部九州総体で全国5位入賞などの成績を残してきた。「どんなにきつくても諦めない心を磨いていく」と向上心は尽きない。
 (古川峻)

◆先鋒、中堅で圧倒/嘉手納、2大会連続女王

 

女子団体組手 開始2秒でカウンターの上段蹴りを決める嘉手納の藤護哩子(左)

 女子団体組手で2大会連続優勝を果たした嘉手納は、先鋒と中堅だけで相手を圧倒した。

 エースの先鋒、徳里夏帆は「負けられない」と決勝に挑み、突きを積み重ねて残り24秒を残し4―0で退けた。団体の4戦全て勝利した。中堅の藤護哩子は「相手が得意な上段突きのカウンターを狙え」という味方の助言を生かした。開始2秒で上段蹴り、7秒で中段突きを決め、あっという間に勝利した。

 大将の津嘉山華楠は県中学総体へ向けて「スピードと柔らかさを身に付けて団体優勝したい」と意気込んだ。

◆コリンズけん引 初戴冠に感無量/拳龍同志会
 

男子団体形決勝 迫真のスーパーリンペイを見せた拳龍同志会の(左から)嶺井芭亜人、コリンズ・ジョーダン・琉太、新里柊也

 男子団体形で優勝した拳龍同志会。1年から出場し初めて県制覇を経験したコリンズ・ジョーダン・琉太(越来3年)は「やっと優勝できた」と感無量の様子だった。

 先頭のコリンズは失敗できない重圧から動きが硬かった。決めの踏ん張りが弱く、足が滑りそうになる場面も。しかし、後ろの新里柊也(美里2年)と嶺井芭亜人(越来1年)が動きを合わせて乗り切った。

 このメンバーでの団体形は最後の予定だ。新里は「次は自分が後を継いで引っ張っていきたい」と意欲を語った。

◆気持合わせ、一糸乱れず/凜道場、汗を流した成果

女子団体形決勝 息の合ったチャタンヤラクーシャンクーを披露した凜道場の(左から)平田美月、平田彩華、宮城美琶

 女子団体形決勝は凜道場(宮城美琶・平田彩華・平田美月)が一糸乱れぬチャタンヤラクーシャンクーで優勝した。「形を合わせるのではなく、気持ちを合わせた」(平田美)。以心伝心の動きは週6日の稽古に加え、大会前日に4時間みっちりと汗を流した成果だった。

 先頭で演武した平田彩は後ろの2人を「呼吸とオーラで感じていた」という。仲村渠ゆかり館長は「皆が同じことを考えて意識を共有した」と稽古を振り返った。宮城は「目標を設定して練習してきた。次もオーラを出して勝つ」と気を吐いた。