沖教組写真デジタル化 歴史資料が共有財産に 村岡敬明・明治大研究・知財戦略機構研究推進員【識者談話】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
村岡敬明氏

 沖縄県教職員組合(沖教組)から読谷村に寄贈された写真資料は復帰運動の実態解明に有用な役割を果たすことになる。例を挙げると、奄美復帰10周年記念の視察(1963年)は62年3月に米国のケネディ大統領が「琉球は日本の一部」と認めた直後だ。安里積千代社大党委員長に銃剣を向ける米兵は強大な支配者の米軍と被支配者の沖縄住民の力関係が見て取れる。いずれも本土復帰までの戦後の沖縄史をひもとく貴重な記録だ。

 当時の沖縄の社会状況は、書物や論文から読解することも可能であるが、難点は読解に長時間を要することである。一方、デジタルアーカイブ化した写真資料はインターネットに接続できる環境があれば、誰でも、いつでも、どこでも写真資料へ瞬時にアクセスできる。同時に膨大な資料の散逸や劣化を防ぐメリットもある。

 2013年にも沖教組から村史編集室に戦後沖縄の写真資料1万6千点余が寄贈され、19年にクラウドファンディングによってデジタルアーカイブ化し、一般公開されている。人々の共有財産として今回も同様の対応が求められる。
 (政治学)