バスケ末広コーチ、3人制女子で五輪目指す BリーグU15全国制覇「新境地見つける」


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ベンチで選手たちに指示を送る名古屋U15の末広朋也HC(右手前)=3月30日、東京体育館(Bリーグ提供)

 バスケットボール日本代表に分析スタッフとして関わってきた宮古島市出身の末広朋也氏(33)=宮古高―東海大出=が、コーチとして活躍の場を広げている。3月のBリーグユースチームによる全国大会「U15チャンピオンシップ」では名古屋ダイヤモンドドルフィンズをヘッドコーチ(HC)として初優勝に導き、今月には東京五輪出場を目指す3人制女子代表のサポートコーチに就任。「自分で考える選手を育てる」ことを理想のコーチ像に描き、経験を重ねて成果を生み出している。

 宮古島で教師として指導者になることを志し、東海大に通いながら民間のコーチ育成コースで指導法を学んだ。大学4年時に数字や映像を基にした日本代表の戦術分析を動画撮影などで手伝う機会を得て、卒業後も日本協会に勤め、知識を深めた。

 転機は2018年。各年代の日本代表で世界選手権に帯同し、満を持して「コーチにチャレンジしたい」と次のステップに踏み出すことを決意。「専属で教えることができる」と、同年に設立された名古屋U15のHCに就いた。

オンラインでインタビューに答える末広朋也氏=12日

 モットーは「自分で成長していく力を持った選手づくり」だ。練習では「試行錯誤しながら乗り越える過程が考える力を伸ばす」と、あえてミスが5割ほどになる強度のメニューを組む。普段から各選手の理想像を共有しているため、試合では「選手が鍛えてきた技をどれだけ試せるかが一番大事。それができているかを観察している」と細かい指示はほぼ出さず、選手の自主性を重んじるという。

 3月のU15チャンピオンシップ決勝では、秋田との接戦を1点差で制し、初の栄冠を手にした。指導者として「成長を実感している」と言う一方で、「もっといい指導ができたら、もっと余裕で勝てていたかもしれない」と満足はない。「自分を疑いながら進めている。新たな境地を見付けていくのがすごい楽しみ」と常に第三者的な視点で自らの指導を顧みて洗練することを心掛けている。

 今月には、東京五輪予選に臨む3人制女子日本代表のサポートコーチに。名古屋U15のHCになって4年目。「HCが求めることなど、コーチをしたからこそ見えてくるものがあった。チームのゴールに向けてベストを尽くす」。黒子と指揮官の両方で重ねた経験を総動員し、世界最大のスポーツの祭典を目指すチームを力強く支えていく。
 (長嶺真輝)