重量挙げ、まだ見ぬ頂へ挑む 山城英寿<決意の春>


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迷いを吹っ切り、大学でさらなる飛躍を誓う重量挙げの山城英寿=3月17日、八重瀬町の南部工高

 昨年6月、重量挙げの山城英寿(18)=南部工出=に名門・金沢学院大から進学の誘いがきた。高校2年まで全国で結果を残せなかったため「びっくりした」と喜びの感情は湧いたが、すぐに決心はつかなかった。「コロナで全国大会がなくなり、モチベーションが下がっていた」。決意を促したのは、男子102キロ超級でスナッチ、ジャークいずれも県高校新を記録した翌7月の県総体。深めた自信が次の一歩に力を与えた。

 中学まで柔道を続け、競技を始めた1年時にいきなり全国選抜に出場したが、2年では伸び悩んだ。成長のきっかけは、昨春に南部工に赴任した宮城篤監督。バーベルを挙げた時の両足の幅や上半身の反りを細かく矯正され、徐々にフォームが安定していった。ただコロナ禍で練習の成果を発揮する場がなく、なかなか自信がついてこなかった。

 そんな中、7月の県総体を迎えた。1学年上の山田俊輔(沖縄工出)が持つ県高校記録を破ることを目標に挑み、見事達成。その瞬間、湧いてきたのは「自分はもっとできるんだ」という感覚だった。

 最終学年の全国大会が軒並み中止になり、目指していた全国一もまだ果たしていない。宮城監督からも「まだまだポテンシャルがある。国体で沖縄を引っ張る選手になってほしい」と背中を押された。「重量挙げを本気で探究できるのは若いうちだけ。今しかできないことをやろう」と、進学を決意した。

 自己ベストはトータル271キロだが、これまで重点的に取り組んできた下半身と体幹をさらに強化し、大学での目標は360キロ。「インカレで優勝したい」とまだ見ぬ全国の頂を見据え、挑戦を続ける。

(長嶺真輝)