土地所有者の情報、政府機関に提供も 規制法案「住民を監視」と疑問視


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 【東京】安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案を巡り、内閣官房は27日の参院外交防衛委員会で、新法の調査権限に基づき得られた土地所有者などの個人情報を、内閣情報調査室や公安調査庁などの情報機関に提供する可能性があることを示唆した。

 伊波洋一氏(沖縄の風)は質疑で、新法に基づく調査で得られる土地所有者の氏名や住所、国籍などの個人情報だけでは、防衛施設の機能を阻害する行為が行われるかどうかを判断するのは難しいと指摘。収集した情報を内閣情報調査室や防衛省情報本部、公安調査庁などの政府機関に提供することがあるかを問うた。

 これに対し和田義明内閣府大臣政務官は「必要があると判断した場合には」と前置きした上で、利用者などの情報について「関係行政機関等の協力を得つつ、所要の分析を行うこともあり得る」と答弁した。実際にどの機関に情報を共有、分析するかは「個別具体の事情により異なる」とした。

 伊波氏は、防衛施設周辺で指定される注視区域の土地の利用実態を国が調べるという、制度の特異性に触れ「住民にスパイ容疑をかけて監視対象にするような感じだ」と強く疑問視した。