お笑い米軍基地 大久保謙(FECオフィス勤務)<落ち穂>


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無観客の中行われる「お笑い米軍基地2020」の収録リハーサル。本番も無観客で収録された=2020年6月12日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール

 「芸人としてはこの舞台を続けたいけと、ウチナーンチュとしてはこの舞台ができなくなることを願っていることも事実」

 これは舞台「お笑い米軍基地」の企画・脚本・演出を手がける沖縄芸人、小波津正光(まーちゃん)の言葉だ。

 「お笑い米軍基地」はいまの沖縄のお笑いの中でも、独特な舞台の一つとして存在感を示し続けていると思う。

 今年で17年目。沖縄の芸人が、沖縄の日常に存在する米軍基地をテーマにしたコントを披露するこの舞台は、基地問題が日常に存在することで成り立っている。

 昨年から制作に携わっている県外出身者の私は、これは沖縄芸人にしか表現できない「沖縄のお笑い」の一つだと捉えているが、沖縄のお客さんで埋まった客席も含めた劇場空間こそが「お笑い米軍基地」の本質だと考えている。

 沖縄のお客さんと一緒の客席で見ることが他では得難い鑑賞体験となるのは、その裏にある現実を感じるからだ。

 それは単純に基地問題の情報や知識、ということではない。客席で感情を解放して笑うお客さんを目にすると、これまで沖縄がたどってきた経緯や日々の暮らしの中での葛藤などが浮かび上がる。そこで沖縄の現実を感じるのだ。

 その舞台を昨年はコロナで開催できなかった。やむを得ず無観客収録という形で公演をDVDにして解説や映画「カメジロー」シリーズの佐古忠彦監督と小波津の対談を収録した本に仕上げて販売したのだが、やはりお客さんの前でも実演したい。

 あれから1年。今年は、議論を重ねた結果、会場を2カ所に絞り、半数の客席で開催することにした。沖縄市公演はライブ配信も実施する。

 この1年、基地関連の話題も豊富にあったので、今しかできないお笑いをお届けできるよう、制作はこれから本格化していく。

 今回、まーちゃんはポップな演出を考えているとのことだが、内容は本番当日までのお楽しみ。チケットは5月1日から発売。情報は「小波津正光HP」などで随時発信していく。今年はどんな舞台になるか、私も今から楽しみだ。