米軍属女性暴行殺人から5年 「事件、風化させたくない」 現場で悼む声


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被害女性を悼み手を合わせる人たち=28日、恩納村安富祖

 【恩納】本島中部の女性会社員が殺害された米軍属女性暴行殺人事件の発生から、28日で5年を迎えた。恩納村安富祖の遺体遺棄現場には女性を悼む人たちがが訪れ、「二度と事件を起こしてはならない」と胸に刻みながら静かに祈った。

 献花台周辺には、遺族の了解を得て千羽鶴などこれまでに寄せられた供え物や手紙が並べられ、被害者が寒くないようにと温かいコーヒーも供えられた。

 金武町の屋比久宗子さん(80)は「(被害者の)これからという人生が断ち切られた」と涙を拭った。屋比久さんは「米軍の事件事故でこれまで大勢が犠牲になったのに、基地建設を推し進める政府のやり方が悔しい。県民一人一人が、もっとできることがあるのではないか」と話した。

 「事件を風化させたくない」と初めて現場を訪れたのは、うるま市の植木花子さん(47)。「改めて怒りと悲しみが湧いた。また同じことを起こしてはならない。家族や友人と思いを共有したい」と語った。

 事件後、現場清掃などを担ってきた元金武町長の吉田勝広さん(76)は、米軍による事件が絶えず地位協定の見直しも進まない現状に触れ「(事件を)忘れないこと、繰り返させないこと。そのために自分はどうあるべきか問い続けないといけない」と強調した。