県学生空手選手権 男子は田丸が組手で優勝、女子は黒島が連覇


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男子個人組手 残り31秒で中段蹴りを決める沖国大の田丸太郎=29日、豊見城市の沖縄空手会館

 空手の第45回県学生選手権は29日、豊見城市の沖縄空手会館で行われ、男子個人組手決勝は田丸太郎(沖国大)が9―0で八木竜平(同)を圧倒して優勝した。女子は黒島瑞姫(沖国大)が宇治桜(琉球大)を6―1で退け、おととしの前回大会から連続優勝となった。男子個人形は眞喜志勇哉(沖縄大)がスーパーリンペイを25・28で、女子は久場麗佳(沖国大)がアーナンを24・06で演武し、頂点に立った。男子団体形は沖国大(八塚楓真、髙蒼空、島田辰夫)が、女子は対戦相手の棄権で沖国大(佐和田莉乃、友利瑛令那、久場)が優勝した。

田丸「経験をチームに還元」

 沖国大の3年生対決となった男子個人組手決勝。開始18秒、八木竜平の懐に入った田丸太郎は裏回し蹴りを決めて優位に立つと、得意のワンツーや引きながらの突きなど多彩な技で手玉に取った。最後は中段蹴りで9―0に。「思いっきりやった」と31秒を残して優勝を決めた。

 一昨年の大会で準優勝。「決まったと思った技を取ってもらえなかった」とこれまでで最も悔しい試合の一つだった。「審判に見てもらわないと意味がない」と副審に見えやすい位置から技を入れたり、突きの残心を工夫したりと改善。「今までの経験を生かすことができた」と雪辱を喜んだ。

 名門の大阪・浪速中、浪速高出身。高校ではけがに苦しみ個人の全国優勝はなかったが、中学や高校団体では全国制覇を何度もしてきた。親の仕事の都合と温暖な気候はけがをしにくいと考え沖国大に進学。培った技術をチームメートに伝えることにも注力しており、試合後は対戦相手の八木に助言していた。

 閉会式では大会関係者に名指しされ、沖縄が課題とする組手への貢献に期待するとの言葉を掛けられた。「知識や経験を多くの人に伝えることを最優先にしたい」とチーム全体で成長するつもりだ。
 (古川峻)

黒島 瑞姫

黒島「優勝できて安心」

 女子個人組手で優勝した黒島瑞姫(沖国大3年)の話 久しぶりの大会で緊張したが、優勝できて安心した。練習してきた上段突きのカウンターを出せた。前回の九州国体予選は1回戦で敗れた。次の国体選考会で県代表になり、九州で勝ちたい。

持ち味発揮、会心演武/眞喜志

男子個人形 迫真のスーパーリンペイを披露する沖縄大の眞喜志勇哉

 男子個人形の眞喜志勇哉(沖縄大3年)は予選のクルルンファで足刀蹴りをミスしたが「これで吹っ切れた」と決勝のスーパーリンペイは会心の出来だった。

 出だしの3段突きで波に乗り、ジャンプして空中で蹴る見せ場も決めた。持ち味のパワーを遺憾なく発揮し「今までで一番の演武ができた」。

 前原高時代に全国総体5位入賞。昨年はコロナ禍でモチベーションの維持が難しかったが、「改めて空手の楽しさを実感した」と逆に収穫も得た。

 春先に大会の組み合わせを見てから一気に練習にのめり込んだ。課題のスピードに磨きをかけ「もっとレベルを高くしたい」と意欲を語った。

成長実感も出来納得せず/久場

女子個人形 力強いアーナンを演武する沖国大の久場麗佳

 女子個人形の久場麗佳(沖国大2年)は劉衛流のアーナンで優勝したが「焦って心と体が一致していなかった」と納得していなかった。

 浦添高では組手と形に取り組んだが、大学からは形に専念。全国高校選抜団体形で準優勝した佐和田莉乃、友利瑛令那とともに、劉衛流龍鳳会の佐久本嗣男会長の下で稽古を積む。

 初めは付いて行くのがやっとだったが「食らいつくぞ」と1年以上がたち、精神面と体力面で成長を実感している。

 3月のシニア強化選手選考会では他チームに大差で敗れた。「次こそ絶対に勝ちたい」と雪辱に燃える。全国学生選手権優勝やナショナルチーム入りを思い描き「世界を目指して頑張る」と奮闘を続ける。

全国でもV狙う

 男子団体形で優勝した沖国大4年の島田辰夫主将の話 4月にこのメンバーになったばかりだが、集中して稽古した。朝練や講義の合間、道場の稽古後も集まった。九州大会を制し、11月の全国大会でも優勝を狙う。