社会

聖火リレー、乳がん患者の励みに 糸満で走者に ぴんく・ぱんさぁ奥間さん

「人とのつながりの大切さを伝えたい」と語る奥間洋子さん。ポスターは2019年沖展グラフィック部門で入選した奥間さんの作品。花びらの下2枚は乳房を表現している=30日、浦添市城間のNPO乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」

 東京五輪の聖火リレーが5月1、2日の両日、県内で実施される。乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」の奥間洋子さん(57)=浦添市=は5月2日に、糸満市の平和祈念公園で聖火をつなぐ。「人とのつながりの尊さを伝えたい」とランナーに応募した。乳がん患者として今も薬物療法を継続し、相談やラジオ出演を通して啓発活動などに取り組んでいる。

 「体育会系でもないのに、仲間に誘われることでスポーツと何かしらの縁ができている」。はきはきとした語り口で人生のエピソードを語る。

 1985年、友人に誘われ第1回NAHAマラソンに出場した。運動靴がなく、デッキシューズで走り見事に完走した。しかし、靴下は血で真っ赤に染まっていた。「ゴール後に気付いた。若さと鈍感力でやりきった」と懐かしむ。「互いに太っているから」と仲間から水泳に誘われ、96年には第1回シーポート北谷トロピカルトライアスロンに出場。距離の短いミニトライアスロンだったが4位に入った。

 2015年6月に乳がんと告知された。7月、8月、10月と3回の手術を受けたが「患者会の相談やサポートで落ち込むことはなかった」

 16年には1カ月の入院を経験した。いつもは陽気だが、傷の治りが遅く帰宅後も気持ちが沈み、不安から涙が頰を伝った。そんな時、テレビでリオデジャネイロ五輪の様子が放送されていた。体操の日本男子が団体総合金メダルを獲得するシーンを目の当たりにし、自然とガッツポーズが出た。「感動して勇気をもらった」と病への免疫力が高まった気がした。

 患者会は昨年、15周年を迎えた。メンバーは約30人だが名簿は作っていない。「治療を終え、日常の暮らしに戻る人もいる。啓発活動は率先してやりたい人がやっているだけ」と説明する。「女性にとって乳房を失うことや脱毛は精神が大きく傷つく。体験者同士じゃないと分からない悩みもある」と強調。乳がん患者の思いも一緒につなぐため、聖火ランナーとして駆け抜ける。 (大城三太)



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