沖縄電力、2期連続の減収増益 21年3月期 海外向け再エネ新会社を設立


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新会社「シードおきなわ合同会社」の設立を発表する沖縄電力の本永浩之社長(左)と、シードおきなわ社長を兼務する島袋清人副社長(右)=30日、那覇市

 沖縄電力(浦添市、本永浩之社長)は30日、2期連続の減収増益となる2021年3月期の連結決算(対象子会社12社)を発表した。販売電力量は2・5%(1億7900万キロワット時)減の71億3700万キロワット時となり、新型コロナウイルスの影響による電力需要の減少分は、1億5500万キロワット時(約17億円)だったと分析している。今後の事業計画の一環で、県内離島で培ってきた再生可能エネルギー(再エネ)利用のノウハウを、太平洋地域の島嶼(とうしょ)国などに展開する、海外事業の新会社「シードおきなわ合同会社」の設立も発表した。

 21年3月期の売上高は、前年度比6・7%減の1905億2千万円、経常利益は同21・7%増の113億3500万円、純利益は同24・4%増の83億4100万円だった。

 販売電力量は減ったものの、原油、石炭価格が低く推移して為替レートも円高だったため、燃料費が同26・4%減となるなど費用全体が圧縮され、収益を押し上げた。

 22年3月期の連結予想は、新たな会計基準の適用により、売上高が1624億円、経常利益が65億円、純利益は47億円を見込んでいる。本永社長は、新型コロナの影響で、ホテルや飲食店など業務用の電力販売に引き続き一定の影響は出るとした上で、「20年度よりは若干状況が良くなると思う」と見通した。

 電力販売事業に新規参入する新電力の県内シェアは1月末時点で8・2%となり、前年同時期に比べて1・9ポイント増加した。7月には、新電力によるバイオマス発電所の運転開始が予定されており、競争がさらに激しくなることが予想される。本永社長は「地元の沖縄電力を支持してもらえるようなサービスを展開していく」と話した。

 海外事業強化のため新設した「シードおきなわ」は、沖電と子会社5社が出資する。ディーゼル発電と再エネのハイブリッドシステムや、小規模電力系統の安定化技術など、グループが持つノウハウを集約し、海外市場で再エネ施設の調査・設計、施工、運転などを進めていく考え。

 新会社の社長に就任した沖電の島袋清人副社長は「太平洋地域にはサイクロンがあり、沖縄で台風に対応してきた強みを生かせる。世界を舞台に、持続可能なエネルギー開発に貢献していきたい」と話した。