堅守に変身、FC琉球快進撃 昨季終盤に見せた「兆し」


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4月17日の東京V戦で先制点を決めて喜ぶDF田中恵太(中央)。今季これまで守備陣が好機とみるや攻め上がり、攻撃陣も守備に絡みチームで戦っている

 サッカーJ2のFC琉球がリーグ4分の1を過ぎた段階で2位をキープしている。ここまで9勝1敗1分け。勝ち点差1で首位の新潟を追う。3位の京都とは勝ち点差3だ。7失点はリーグ最少タイ。守備の強度が増し、今季のスローガンに掲げた“進撃”を続けている。

 19年は11節を終えた時点で13失点、20年は20失点だった。シーズン通算では19年がリーグ最悪の80失点、20年は61失点だった。今季は目指す40失点まで順調な戦いぶり。得点数は20得点とリーグ4位につけている。

 変化の兆しは昨季終盤に表れていた。スカウティングにより「ボールの取りどころ」を明確にし、MF池田廉など攻撃陣も豊富な運動量で守備参加しプレッシャーを掛けることでボール奪取につなげていた。

 今季は地力のある長崎(4節)に素早い戻りで堅守を敷いたり、攻撃的な水戸(7節)にはハイプレスで応じたり、相手によって守備を変化させ、チームの意思統一が図られている。

 全試合スタメン出場のセンターバック岡崎亮平と知念哲矢は試合ごとに連係を深め、数々のスーパーセーブを見せるGK田口潤人の働きも目を引く。スタメン争いもいい刺激に。ボールを奪われた人が取り返す責任感のあるプレーなどチーム内の良好な空気が勢いに拍車を掛けている。

 攻撃では両サイドバックからのアーリークロスが、FW陣の守備の裏抜けを生かしている。DF田中恵太が決めたアシスト数5回は現在リーグ2位だ。

 唯一敗れた町田戦は、軽い守備から3失点するなど中3日の疲労からか足が重たく見えた。田中は「チームに圧倒的な強さはない」と話す。粘り強い守備からテンポ良い攻撃につなげることが今後も躍進の鍵になるだろう。

 次戦は5日午後6時から、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで京都と戦う。昨季得点王で今季も得点数トップを走るピーター・ウタカなど個の力が強いメンバーがそろう。昨季は1勝1敗。J1昇格へ向けて大事な1戦となる。

(古川峻)