「LGBT」カトリック中学高校で学びの場 タブー越え「多様性と人権」模索


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「認めること」「十人十色の学校」について意見を出し合い、ワークシートにまとめる沖縄カトリック中学高等学校の生徒=4月30日、宜野湾市真栄原の同校

 沖縄カトリック中学高等学校は4月30日、LGBTに関する講演会を開いた。カトリック教会は同性愛をタブー視する考えが根強いが、同校は社会の変化や人権尊重の在り方について議論を重ね、講演会の実施に踏み切った。4月からは制服選択制を取り入れるなど、性の多様性を尊重する取り組みを進めている。

 講師を務めたのは、NPO法人レインボーハートokinawaの竹内清文理事長。ゲイを公表している竹内さんは、子どもの頃の悩みや両親に打ち明けた時の葛藤など、自身の体験を交えて講演した。「男らしく、女らしくじゃなくて、自分らしく」「自分の好きなことを大切に」「自分と違う周りも大切に」と、メッセージを送った。

 新型コロナウイルス対策のため、中学3年の2クラスが対面で竹内さんの話を聞き、残りの学級はオンラインで受講した。講演の後、生徒は「認めるとはどういうことか」「十人十色の学校はどんな学校か」をテーマにグループで話し合い、発表した。「認めるとは、一人一人が尊重し合い、愛すること」「十人十色の学校とは、いろいろな色の花が咲くフラワーガーデン。自分だけの花を咲かせよう」など、多様な意見が出た。

LGBTについて、自身の体験を交えて話す竹内清文さん

 同校はカトリック系の学校だが、信者ではない生徒も多く通う。カトリック信者は「1クラスに数人程度」(同校関係者)だが、日曜礼拝に参加するなど、信心深い生徒もいる。

 講演会の開催に取り組んだ西里咲教諭は「(同性愛と同じようにタブー視される)中絶に強い拒否感がある生徒もいる。教義との関わりもあるので、キリ学(沖縄キリスト教学院大学)の先生に意見を聞くなど、教職員も勉強してきた」と明かす。制服選択制の導入に関する議論を含め、教職員も話し合いを重ねていた。

 ローマ教皇フランシスコが同性愛者の事実婚を社会的に認めるとする発言があったほか、県が性の多様性を尊重する「美ら島 にじいろ宣言」を発表するなど、多様な性への理解が社会で進む。

 西里教諭は「今の生徒は柔軟な考えを持っている。多様な意見がある中、人権を大切にするという文脈でLGBTのことを伝えることができた」と講演会の意義を語った。