工学系・平良さん、乳癌画像研究会で優秀賞 画像作成時間500分の1に


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日本乳癌画像研究会の口演部門で優秀賞を獲得し、賞状を手にする平良日向子さん(提供)

 琉球大学大学院理工学研究科博士前期課程を3月に修了した平良日向子さん(24)はこのほど、修了前に参加した日本乳癌(にゅうがん)画像研究会の口演部門で優秀賞を獲得した。現役医師らが参加する研究会に工学系学生の参加は珍しく、優秀賞受賞は異例。平良さんは現在、医学部入学を目指し、受験勉強に励んでいる。

 平良さんが発表した研究テーマは「乳がんデジタル病理画像における腫瘍と間質領域の自動認識」。乳がん患者の組織標本画像から、腫瘍と間質を人工知能(AI)で見分けることが目的だ。

 従来の手法では、AIに学習させる画像を1枚作成するのに、手作業で4時間程度を要していた。平良さんはMRI画像とCT画像を結び付けて臓器を見分けるシステムを応用することで、画像作成に要する時間を約500分の1に短縮した。

 平良さんは工学部や大学院で、AIに関する研究をしていた。もともと医学に興味があり、担当の宮田龍太助教に相談したところ、医学部の教員らを紹介され、医工連携の研究がスタートした。

 研究に協力した吉見直己・医学部名誉教授は「今までにない視点で乳がんにアプローチしたことが評価された」と述べ、優秀賞受賞をたたえた。

 平良さんは「医学の道へ進み、研究を軸足にして医療に貢献したい」と話した。