命の尊さ 私たちがつなぐ 金武、喜屋武さん 南部土砂反対 共に行動


命の尊さ 私たちがつなぐ 金武、喜屋武さん 南部土砂反対 共に行動
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 沖縄戦戦没者の遺骨が含まれる可能性のある本島南部の土砂を名護市辺野古の新基地建設の埋め立てに使わないよう求め、金武美加代さん(47)=東京都=は那覇市の県庁前で続けているハンガーストライキを14日まで続ける。当初、7日まで予定していた。共に座り込んでいた喜屋武幸容(ゆきひろ)さん(47)=那覇市=はこの日、1週間のハンストを終えた。

 日差しが照り付ける那覇市の県庁前。目の前を車や人が行き交う中、真っ黒に日焼けした2人は「昔のウチナーンチュはこうだったさ~」「ウチナーンチュあるある」と言葉を交わし、笑い合う。

 「みっき~」「きゃんきゃん」と呼び合う2人は4月末、友人を通じて知り合ったばかりだ。だが、「命の尊さを次世代に伝えるのは自分たち」との思いを共有し、沖縄戦戦没者の遺骨が含まれる可能性のある土砂を名護市辺野古の新基地建設埋め立てに使わないよう求め、1週間のハンガーストライキを共にした。

 喜屋武さんは父・幸清さんから沖縄戦の体験を聞いて育った。幸清さんは母子5人で糸満市摩文仁の壕に逃げ込む際、日本兵に幼子が壕に入るのを許されず、2歳の弟と1歳の妹と生き別れになったという。父は語り部として、自身の経験を伝え続けた。父の姿を見ていた喜屋武さんは「父が命の尊さを伝えているように、自分なりに思いを行動に移そう」とハンストを決意した。

 金武さんは3月、土砂の採掘計画に抗議する遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんによるハンストに呼応し、東京の首相官邸前で23日間のハンストをした。だが、県が4月16日に土砂の採掘を禁止する措置命令を見送ったことを受けて沖縄に帰り「具志堅さんの熱を絶やさない。バトンを受け継ごう」とハンストを始めた。

 7日、喜屋武さんはハンストをやり終え、金武さんは14日までの続行を決めた。金武さんは「まだ眠っている遺骨の帰りを待っている遺族がいる。そんな場所の土砂を採取することは許さない。その怒りを行動で示して、次世代に命の尊さを伝えたい」と決意した。

(嶋岡すみれ)