ゴーヤー、沖縄県産野菜けん引 他県産との競争も激化


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 5月8日は語呂合わせで「ゴーヤーの日」。JAおきなわ営農販売部のまとめでは、2011年に643トンだったゴーヤーの県外出荷は、5年後の16年に倍増の1438トンを記録するなど好調に推移してきたが、17年度以降は台風などの気象要因を受けて1100トン前後で推移している。2020年度の県外出荷は新型コロナウイルスの影響も少なく、前年度を上回る約1200トンが見込まれている。 

 県農林水産物販売促進協議会などが1997年に「ゴーヤーの日」を記念日として制定し、販売促進やPR活動に取り組んできた。

 ウリミバエの根絶などにより県外出荷ができるようになった90年代から、ゴーヤーの生産拡大は続いてきた。18年度の県産野菜の県外出荷量に占めるゴーヤーの割合は20%で、県外出荷をけん引する存在だ。JAおきなわの担当者は「県外でも『一般野菜』との位置付けになりつつあり、浸透している」と語る。

 だが、近年は他県産との競合にも直面している。農林水産省のまとめでは、ゴーヤー(ニガウリ)の収穫量に占める沖縄産のシェアは2000年に49%だったが、18年は40%まで低下している。

 県外では宮崎県、鹿児島県、群馬県などで生産が盛んになっている。農水省の担当者は「(他県の生産拡大は)全国的な需要増も背景にあるだろう」と説明する。

 沖縄に続いて収穫量で2位の宮崎は、00年の1452トンから18年は2276トンと1・5倍に増えている。JA宮崎経済連の担当者は「NHKの朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』など沖縄ブームもあり、02年ごろから生産拡大に取り組んできた」と語る。

 東京都中央卸売市場の市場統計などによると、18年のゴーヤー取引量のうち、1~6月と11、12月で沖縄産が首位だった。夏場が中心の県外産に対し、県産は年間を通して安定供給が可能な点がある。JAおきなわの担当者は「(県外産が減る)冬場の出荷などに力を入れていきたい」と強調した。 (塚崎昇平)