若年妊産婦に宿泊型の居場所を 病院と連携し親子を支援


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妊産婦向けの宿泊型居場所のオープンについて会見するおきなわ子ども未来ネットワークの山内優子代表理事(右から3人目)=7日、県庁記者クラブ

 「若年にんしんSOS沖縄」事業など、妊娠や出産に悩む女性たちに寄り添う活動を続けるおきなわ子ども未来ネットワークは、11日から居住先がない妊産婦のための宿泊型の居場所「まりやハウス風のいえ」を開所する。7日、県庁記者クラブで会見した山内優子代表理事は「安心、安全に出産を迎えられる居場所の設置を痛感していた。出産後も安心して親子が施設から出られるような支援をしっかりやっていきたい」と語った。

 同ネットワークによると、県内で妊産婦受け入れに特化した居場所を提供する施設は公的も民間もなく、設置は初めて。県外には同様の施設はあるという。運営資金は日本財団などから助成を受けるほか、クラウドファンディングで500万円を集める。入居費は、10代で所得がない人は徴収せず、生活保護受給者などは関係機関と連携しながら一部生活費の徴収を検討する。

 入居人数は6人が上限で、1部屋に2人ずつ入居する。入居対象者は県内で妊娠中の女性で、若年で未婚の妊婦を優先する。すでに申し込みは2件ほどある。市町村を通じて申し込みを受け付け、市町村に連絡できない人は個別の相談にも応じるという。

 助産師や看護師など10人体制で入居者を見守る。産婦人科病院と連携し、スタッフが受診に同行し、無事出産できるよう支援する。自身で育てるか養子縁組、里親委託の方針に向けて相談に応じ、本人の思いを尊重する。学業支援や家事、
育児もサポートする。

 同ネットワークによると、県内で居場所のない妊産婦は車中泊をする人もいるほか、新型コロナの影響で県外の病院で受け入れを断られる事態も起きているという。山内代表は「30年前、若年で子どもを産んだ少女が誰の力も借りられずに子どもを虐待したことがあった。この事業は30年来の夢だった。わずか6人の居場所だが、この沖縄に小さな一歩を踏み出すことができてうれしい」と語った。