陸上の第72回沖縄選手権第1日は8日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われ、男子A800メートルで外間勇太(友睦物流)が1分52秒92の大会新で優勝した。女子A400メートル障害の津波愛樹(福岡大)は58秒95で自身の持つ大会記録を更新して栄冠を手にした。大会は無観客で開催しており、ユーチューブでライブ配信している。視聴URLは沖縄陸上競技協会ホームページに掲載している。
外間、スパート鮮やか 二重の喜びに「びっくり」
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強みのラストスパートで差しきった。タイムに気づいたのはゴール直前。厳しいレースを勝ち抜いたのに加え、大会新の1分52秒92がついてきた。男子800メートルを制した外間勇太は「びっくりした」と二重の喜びで声を弾ませた。
県記録1分52秒35にも届きそうな力走だった。それを引き出したのは同組の「よく知っているメンバー」だった。序盤からハイペースで「余裕はなかった」という。最初に仕掛けたのは先頭を行く瑞慶覧裕介(JTARC)。必死に追いつつ、いつでも反応できるよう準備した。
「自分の持ち味はラスト。最後までついて行けたら」と残り150メートルでスパートをかけ、プラン通りに抜き去ることができた。終盤までもつれる好勝負。2位の瑞慶覧、3位の大城希月(名桜大)も従来の大会記録を上回った。
勝因は中盤の粘り。コロナ禍で大会参加が遠ざかっている時にしっかりとトレーニングできたことが奏功した。「力がついてきた実感もある」と手応えは十分。その上で「瑞慶覧がずっと引っ張ってくれたことも大きい」とレースをつくった仲間に感謝した。
9日には専門の1500メートルがある。「そこにつながる走りになった。優勝しながら記録を狙いたい」と弾みをつけて2冠を狙う。
(謝花史哲)
目標はさらに上 底上げ図る津波
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女子400メートル障害の津波愛樹(福岡大4年)は、2018年の大学1年時に出した大会記録の1分00秒07を塗り替える圧倒的な強さを見せた。5日前に静岡での大会を終えたばかりだったが、力を増した走りでレースをまとめた。
目標は57秒台。そのためにも「アベレージを上げることが大事。60秒にかかっては駄目だ」と力の底上げを図っている。コロナ禍でも練習を怠らず、弱さを感じていた体幹トレーニングも重ねてきた。
今年に入ってレース4本中3本は「60秒を切っている」と感触はいい。調子を合わせた静岡での大会後で疲労も残った状態だったが、後半は足を残して走りきることができた。直近の大きな目標は6月の日本選手権。「決勝に残って戦いたい」とモチベーションを上げている。
「狙いすぎた」南、喜び半分 男子やり投げ制す
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男子やり投げで67メートル25で優勝した南辰貴(九州共立大3年)は「調子は良かったけど、やりにうまく力を伝えられなかった」と喜び半分といった様子で自らの投てきを冷静に評価した。
昨年、練習中に右肘の靱帯(じんたい)を切るけがを負った。手術して約半年間、実戦から遠ざかった。復帰は今年3月。ただ治療の期間中のウエートトレーニングが効果を発揮し、4月の記録会で69メートル96の自己新を出した。
今大会も記録更新を目指したが「狙いすぎた」と70メートルには届かず、68メートル46の大会記録にも一歩及ばなかった。一方で収穫も。いつもは前半の投てきに弱さがあったが、1投目から65メートルを越えた。「競技から離れた時に落ちた技術面が伴ってくればもっと伸ばせる」と気持ちはポジティブだ。