再エネ発電所増強へ イーレックス 県内企業と協議進める


社会
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 新電力大手のイーレックス(東京)の本名均社長が琉球新報のオンラインインタビューに応じ、7月に商業運転開始を予定している「中城バイオマス発電所」(うるま市)の他に、再生可能エネルギーを活用した発電所の建設を本島内で計画していることを明らかにした。本名社長は、県内企業などと話し合いを進めているとして「供給力を増やすことで、自由化の競争原理に基づいた安い電力を増やすことができる。同時に、脱炭素への取り組みも使命となる」と話した。

 電力供給競争 活発化

 2016年4月の電力小売り全面自由化に伴い、全国では1月時点で新電力のシェアが販売電力量の19・7%を占めるようになっている。沖縄では新電力の自前の電源が少ないことなどから、新電力シェアは8・2%と全国平均より低くなっている。

 7月の運転開始を控えた中城バイオマス発電所は出力4万9千キロワットで、供給力は一般家庭約11万世帯分に相当する。これに加えて新たな発電所が整備されれば、電力供給の競争がより活発になることが見込まれる。

 本名社長は新発電所の電源について、沖縄は台風災害があるため風力発電は難しいとして、「バイオマスか太陽光を使った展開になると思う」と話した。規模については「供給力を増やすことが我々の沖縄での最大の課題だ。大きければ大きいほど良い」と話した。

 中城バイオマス発電所は、成長の過程で二酸化炭素(CO2)を吸収する木質燃料のパームヤシ殻(PKS)を使って発電する。発電した電力は、イーレックスと沖縄ガス(那覇市)が出資する沖縄ガスニューパワーが販売する。

 本名社長は、商業運転開始後の営業体制の強化に向けて、県内企業が販売代理店として加わることも明らかにした。既に小売業など県内企業3社の参加が決まっているという。

 イーレックスは東証1部上場の新電力。2000年の電力自由化に際して、国内で3番目の特定規模電気事業者として登録した。バイオマス発電所を国内4カ所で稼働し、中城発電所を含め今後さらに3カ所での運転開始を予定している。発電事業以外にも燃料事業、電力小売事業などを手掛けている。

 19年度の全国での販売電力量は26億1900万キロワット時。県内では16年に沖縄ガスニューパワーを設立し、販売電力量は1億1900万キロワット時。
 (沖田有吾)


<用語> バイオマス発電
 家畜排せつ物や間伐材など、動植物由来の有機性エネルギー資源を使って発電する仕組み。直接燃焼する方法や、発酵で得られたガスを燃やす方法で発電する。植物は光合成によって二酸化炭素(CO2)を吸収して成長するため、燃料にしても全体で見ると大気中のCO2増加につながらないとされる。中城バイオマス発電所ではパームヤシ殻(PKS)などを燃料とする。同じ再生可能エネルギーの太陽光や風力などに比べ、立地の自由度が高いことや安定した発電量が見込めることが特徴。