リウボウG赤字、ダメージは「訪日客より地元客減」 ネット強化を模索


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2021年2月期決算を説明する(右から)リウボウホールディングスの大城健一社長、リウボウインダストリーとリウボウストアの糸数剛一社長、沖縄ファミリーマートの野﨑真人社長=11日、那覇市のデパートリウボウ

 リウボウグループ主要3社の決算は、百貨店とコンビニの売上高がそれぞれ前期比で60億円以上減少するなど、新型コロナウイルス感染拡大による小売業へのダメージを浮き彫りにした。

 百貨店のデパートリウボウは、親会社への家賃免除がなければ実質的に経常損失は約7億円となる、厳しい決算となった。2020年度に沖縄を訪れるインバウンド(訪日外国人客)がゼロとなり、19年度の売り上げの約11%を占めた免税売り上げが大幅に減少した。その上で、糸数剛一社長は「インバウンドの影響もあるが、それ以上に地元客の減少が大きい」とコロナ禍を振り返る。

 百貨店は日常品を中心とするスーパーと異なり、「非日常」的な価値と共に買い物を楽しむ需要に応える場所でもある。「巣ごもり需要」の恩恵があったスーパー事業に対し、緊急事態宣言などで「不要不急」な外出の自粛が呼び掛けられた影響を受ける形となった。デパートリウボウのテナント数はコロナ前に約200店あったが、アパレルを中心に10~15店舗ほど減少した。

 糸数社長は回復に向けて、(1)百貨店の強みを生かした有名ブランドの誘致など独自性の強化(2)外商の強化(3)電子商取引(EC)の強化―を軸に、黒字回復を目指すとした。今後の最大の伸び代は国内観光客だとして、「ネットでの認知を広げ、将来的には沖縄観光のアイコンにしたい」と話した。

 沖縄ファミリーマートも、観光地の店舗を中心にコロナ禍で観光客が減少した影響を受け、初の減収となった。野﨑真人社長は、21年度の見通しとして「観光客は読めない。県民を中心に売り上げを立てていく」と話した。

 今後の出店については「現在の329店舗と同じくらいの規模感の中で、立地が本当に良いのかを洗い出していく」と話した。セブン―イレブン沖縄が積極的な出店を続けていることを念頭に、「どこを伸ばせば対抗できるかを店ごとに分析し、売り場の改造などに取り組む」と話した。

 リウボウグループは、昨年11月に那覇市松尾の複合商業施設「レグザリウボウ」を売却した。糸数社長は「コロナ前から検討していた。既存事業の強化と新事業スタートのための手元資金があることで、余裕を持てている」と話した。