【深掘り】宮古陸自受け入れ 市長、「千代田」で変節 既成事実化図る


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
陸上自衛隊の配備候補地に上がっている千代田カントリークラブ=2015年5月7日、宮古島市上野野原

 宮古島市への陸上自衛隊配備計画で下地敏彦市長は22日、井上一徳沖縄防衛局長から候補地である「千代田カントリークラブ」の用地取得手続きを進めると伝えられ、了承した。下地市長はこれまで「施設の概要が出てくれば、関係法令を参照して(受け入れを)判断する」としていたが、防衛局が具体的な計画を示さないまま手続きを進めるのを認めたことになる。  

 沖縄防衛局はこれまで旧大福牧場周辺に警備部隊やミサイル部隊の駐屯地を、「千代田」には訓練場と隊舎を造ると発表していた。しかし、「大福」は地下水源に影響する可能性があるとして市民の反発が強まり、下地市長は反対を打ち出さざるを得なかった。

 「千代田」の土地取得に対する下地市長の了承は、一定条件を満たせば防衛省が市内のどの土地を買っても市は“口を挟まない”と表明した形だ。

 一方、防衛省関係者は「総論(部隊配備)賛成してもらってありがたいが、各論(場所)としては膠着(こうちゃく)してしまった感がある」と話す。井上局長は「千代田」に駐屯地を造る可能性を否定しなかったが、本音では「大福」の代替地を求めており、選定にはなお紆余(うよ)曲折がありそうだ。

 配備を急ぐ防衛省側は来年度の予算要求を視野に、概算要求が固まる8月末までには候補地を絞り込みたい考えだが住民から影響を懸念する声が上がる可能性も考えられ、先行きは不透明だ。(梅田正覚、島袋良太)