中小・小規模重視を強調 海銀新城新頭取 デジタル化も課題


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沖縄海邦銀行の新頭取に内定し、抱負を語る新城一史氏(左)と上地英由頭取(右)=12日、那覇市久茂地の沖縄海邦銀行

 9年ぶりの頭取交代を発表した沖縄海邦銀行。超低金利による銀行の収益環境悪化、新型コロナウイルス感染拡大による経済の停滞、政府による地銀統合への圧力強化など、難題が山積する中でバトンを受け継ぐ。新頭取に内定した新城一史常務(57)は「厳しい環境下で重責を感じているが、期待に応えられるようリーダーシップを発揮したい」と決意を語った。

 新型コロナが感染拡大を繰り返し、県経済は主要産業の観光業を中心に、幅広い業種が打撃を受けている。役員人事に先だって発表した海銀の2021年3月期決算は、個別貸倒引当金の繰り入れなどで与信費用が増えた。

 海銀の顧客には、企業体力のぜい弱な中小・小規模事業者が多い。新城氏は「地元の企業、個人に元気がないと当行の存続もない。コンサルティング、金融仲介機能を十分に発揮し、地元を元気にしていく。中小、小規模企業を中心とした取り組みは変わらない」と強調した。

 顧客の利便性向上や、業務効率化によるコスト削減、ITと金融が融合した「フィンテック」サービスの開発など、デジタル化の促進は金融業界に共通した方向性となっている。上地英由頭取(67)は「これからはフィンテックなど金融環境がどんどん変化していく。対応できるような若さと人材が必要だ」と、10歳の若返りとなる後任人事に期待した。

 次期役員人事は会長の上地氏、頭取の新城氏(57)、専務の新垣淳氏(60)の3人が代表権を持つほか、取締役営業統括部長の大城昌人氏(58)が常務に昇任し、湖城誠一郎常務(58)は再任。CSDコンサルタンツ代表の西里喜明氏(62)を社外取締役に迎える。幸家秀男専務(63)、比嘉梨香社外取締役(61)は退任する。