沖縄含む国内にミサイル配備し中国を牽制 「島しょ要塞」米海軍で論文が記載


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論文でミサイル発射台を配置する可能性がある場所として示された地図(穀田恵二事務所提供)

 【東京】米海軍中尉が2019年に執筆した論文で、「第一列島線」上の12の島に地対艦ミサイルを配備することで、中国の海洋進出を防げるとの戦略を示していた。12日の衆院外務委員会で共産の穀田恵二氏が示し「日本の島々を(中国の)海洋進出の障壁として活用するのではないか」と疑問視した。米軍の「遠征前方基地作戦」(EABO)との関連を指摘した。

 米海軍協会の月刊誌2019年2月号に掲載された。「島しょ要塞(ようさい)」と題した論文は韓国の南端から南西諸島、フィリピン、インドネシアを結ぶ島々の間には200マイル(約321キロ)を超える水域がなく、12の島にミサイルを配備すれば「中国海軍の機動性を妨げ、世界の海へのアクセスを奪う可能性がある」と言及した。日本国内には沖縄を含む6カ所が図示されていた。対艦ミサイルのNSMと、日本の12式地対艦ミサイルは18年の環太平洋合同演習(リムパック)で「テストされた」と記述。移動式地対艦巡航ミサイル(ASCMs)や、高機動ロケット砲システム「ハイマース」の改良も有効とした。

 一方、中山泰秀防衛副大臣は米軍のEABOについて「列島線が生み出す自然の障壁を活用しつつ、地上発射ミサイルを含む多様な機能を持つ臨時拠点を前方に一時的に設置するもの」だと説明した。EABO自体は「第一列島線を具体的に意識したものではない」とし、論文についても「米海軍の正式なものではない」と述べるにとどめた。